2008年11月17日月曜日

『ツレがうつになりまして。』細川 貂々

友人が『ツレがうつになりまして。』
(細川貂々、幻冬舎)を紹介してくれた。
ありがたい。わかってくれているなぁ。

実はこの本はすでに持っていた。

マンガで面白おかしく描いてはあっても、
本当に大変なんだなと思う。
でもとても勇気づけられる本。
不安や自己嫌悪や体調不良があっても、
あぁ、いいんだって思える。
何回も読み返して自分を安心させている。

そのツレが書いた『こんなツレでごめんなさい』(文藝春秋)も、

より本人の内面がわかって興味深い。

実は『ツレがうつになりまして』はある意味、死と再生の物語だ。

夫の突然のうつ病で奈落の底に落ちた夫婦が、
試行錯誤しながら新しい生活、新しい人生を手に入れる。
本の最後にはうつ病とつき合いながらも
明るく前向きな二人がいる。
『こんなツレでごめんなさい』では、
無理だと思っていた子供まで授かった喜びで終わる。

そこがこの本の良いところでもあるし、

不安になるところでもある。
ハッピーエンディングは
多くのうつ病の人に希望を与るだろう。
でも自分も同じような再生の物語を描いていけるのだろうか、と
心配になる人もきっといるはずだ。

それでも、今苦しんでいる人は、救われる。

自分が一人ぼっちじゃないと
言ってもらえるからだろうな。


2008年11月8日土曜日

乱丁な一日

明日の日曜日はウクレレの大きな会がある。
グループ演奏ばかりだけど、4曲も出演する。
  
個人の演奏会とか発表会ではなく、
団体の交流会的な集まりなのだが、
“団体”も“交流”も今の自分には相当に辛い。
  
でもウクレレを弾きたいのだ。
アロハシャツも買ったのだ。

ところがすでに緊張しているのか、
今日は朝からカラダがダルく、
妙に落ち着かず、気持ちも不安定な感じで、ちょっとアセる。
起きているのが辛いのだが、横になっても眠れない。
交流会を楽しみにしている自分と、
不安な自分がくるくる入れ替わる。

昼に安定剤を倍飲んで、
午後やっと2時間ほど眠れた。
夕方起きたら背中が痛く、また気持ちも不安定で、
これはちょっとマズいんじゃないかと思っていたら、
6時頃から急に復活しだし、
買い物、洗濯、洗い物と次々とこなす。

自分のことがうまくコントロールできない。

先週病休延長が決まってから、
今週は寝てばかりだった。
カラダがやっと少し安心して、
本当は辛かったんだってことに気づいたのかな。

カラダよ、もう一日がんばっておくれ。
その後はいっぱい泣き言言ってもいいからさ。
  
  

2008年11月7日金曜日

半額

買い物に出る。
人混みや騒音が嫌だと思うことは、
今までもあったけれど、
カラダが嫌がっている感覚はやっぱり今ならではかな。
  
ピリピリと鳥肌が立ちそうな感じで、いたたまれなくなる。
特にパチンコ屋の前とか、食品売り場みたいなところは、
カラダがひどく緊張する。
職場での追い詰められ感がよみがえる。
  
できるだけ人混みを避けて歩いていたら、
両手に買い物袋を下げて黙々と歩いている人がいた。

首に「半額」の札を下げて。

  
  
   
歩く姿に
ウケ狙いとは思えない“ひたむきさ”みたいなものが感じられて、
一瞬の間に、
   
「売られているのかあなた?」
「半額ってなに?」
「定価っていくら?」
「半額でも買わないでしょ」
「買ってどうする?」
「ただならもらうのか?」
   
とかいろんなことが頭をよぎったような気がする。
   
今日のちょっとクラクラした脱力タイム。
   
  

2008年11月6日木曜日

デイパック

朝、仕事に出る彼女をドアまでお見送りする。
  
あ、そうだ、忘れ物!
そう思って台所に戻り、冷蔵庫を開ける。
そこにはデイパックが入っている。
  
そのデイパックをドアの前に立っている彼女に渡す。
彼女はうれしそうに受け取り、
  
「ありがと。じゃ行ってくるね~」
   
と微笑む。

目が覚める。
でもまだ半分寝ている。
  
どうして、冷蔵庫にデイパックが入ってるんだ?
あのデイパックには何が入ってるんだ?
   
そして思う。
アイスクリームだ! 
なぁんだ、そうか。
そのまま納得してまた寝てしまう。

平和な夢。
もちろんアイスクリームは
彼女の大好物。
 
  

2008年11月5日水曜日

カイロプラクティック的アドバイス

体調が悪くなるとお世話になっている
カイロプラクティックがある。
そこの先生の言葉。


「ストレスがとても強くなると首の髄液の流れが悪くなる。そうすると頭が緩まずにずっと締め付けられた状態になって、気持ち悪くなったり、何も考えられなくなったりしてしまう。うつ的な症状の物理的な原因は、ここで強制的に頭を緩めることで、ある程度解消できるよ。

でも、そもそものストレスが続く限り、常に同じ症状になる可能性があるわけだから、できるなら今は何もしないで、ただ好きなことだけして過ごすっていうのが必要だね。

ストレスで体もゆがむ。あなたの場合右鎖骨から対角線上に捻じれて、十二指腸を圧迫する。その結果胃液過多になって、そこからも吐き気や腹痛が起きる。

どんな仕事も大変な部分はある。大事なのはそれとともに喜びが感じられる部分があるかってことだよね。それがなくなったら辛いよね。

僕もこういう仕事がらいろいろな人を見てるけど、正直今のあなたの仕事は大変だよね。ベテランで辞める人をたくさん見てる。それに、あなたは社会人ではあるけれどもサラリーマンには向いてないんじゃないかなぁ。思い切って仕事を変えるっていうのもありだと思うよ。」

彼は昔、「新月」という日本のプログレッシブ・ロックバンドで
ベースを弾いていたという経歴を持つ。
バンド名がそのままタイトルになった
「新月」というアルバムは名盤の誉れ高い。

不調の原因や仕組みを説明されると安心する。
そして最初に
今の仕事に戻らない選択肢もありだと言ってくれた。

治療台に横になっていて、ちょっと涙が出そうになった。

  

2008年11月4日火曜日

眠った一日

昼間によく寝た。
夜熟睡できなかったけど、
明け方薬で頭痛が消えると、
午前中2時間、午後3時間寝続けた。

寝られるということは、疲れているということだ。
でもその疲れていることがわからない。
だって熱も出ないし、痛いところもないし、動けば動けるし。
   
「からだ動くのに怠けてしまった〜」
    
と思いそうになる。
  
「みんなが働いている時に、楽をしてしまった〜」
    
と自分を責めてしまう。そこが適応障害の難しいところなんだな。
でも今は
   
「あぁ自分は疲れていたんだなぁ」
   
と思えるようになってきた。

こうして適応障害とつきあっていると、
体調や気持ちの浮き沈みや緊張と解放の針の触れ具合に、
けっこう細かな波があることがわかる。
  
だから休めると感じた時に、
しっかり休むことが大切だなあと思う。

朝だろうが昼だろうが、
寝られる時に寝る。
眠れるだけ眠る。
  
  

6時10分

一昨日の夜、
睡眠薬を飲んで寝たにもかかわらず、
明け方目が覚めて眠れなくなった。
ベッドの上でしばらく悶々とし、
重い頭で起き上がって時計を見たら
6時10分。

鈍い頭痛が取れず、寝たり起きたりの一日。
寝るといっても、
うつらうつら寝返りを繰り返すばかり。
自分に負荷をかけ過ぎたかな。
エネルギー切れた感じ。

夕べも睡眠薬を飲んで寝たのだけど、
頭痛で何度も目が覚める。
我慢できずに頭痛薬を飲もうと、
起き上がった時間が
6時10分。

病休に入って一ヶ月半。
でもまだまだ休めていないんだな。

6時10分。

仕事に行く時に起きていた時間。
 
  

2008年11月3日月曜日

時計作り


昨日、手作り時計の「くるき亭」の
『オリジナル時計制作コース』に行ってきた。
「くるき亭」の時計は、
手書きながら緻密で繊細な文字盤や、
“歴史”や“記憶”を感じさせるような
味のある作りがお気に入りなのだ。

電車に乗り継ぎ、
始めての場所で、始めての人と、始めてのことをする。
今の自分には結構キツいハードルだが、
モノ作りしたい一心で出かけた。
始めてみると、
ひたすら作業に没頭するという予想ははずれた。

考えたら当たり前なんだけど、オリジナルを作るということは、
自分で決め自分が動くということだ。
   
大きさはどうします?
文字盤はどう作ります?
色はどうされます?次々と決断と実行を迫られる緊張の3時間。
   
特に文字盤をドリルで掘る作業は、息が止まるほど集中した。
でも、人を相手にする仕事を22年間続けていた自分にとって、
一人きりでモノを作る仕事は、とても新鮮で魅力的だった。
完成品は満足いく出来映えだった。
自己嫌悪と自己否定の毎日での、ささやかな自信回復。
ポイントは秒針の赤、かな。
  
  
時計作りには彼女が付き添ってくれた。
リハビリのトレーナーか保護者のように見えたかもしれない。
作業は口をはさむことなく、そばで気遣っていてくれた。

帰りには疲労困憊し、電車の混雑がいたたまれなかったけど、
彼女がそばにいてくれたので、落ち着いていられた。

彼女の名前は〝な〜こ〟と言う。

  

2008年11月1日土曜日

ウクレレ・レッスン

昨年のクリスマスに衝動的にウクレレを買った。
そしてこの春からウクレレ教室に通い始めた。
ダウン直後の一回をのぞいて、
隔週のウクレレ教室には、休むことなく通っている。

15人前後の生徒の皆さんと一緒にいるのは、
正直なところ今の自分には辛い。

レッスンは1時間半。
でも最初から最後まで休憩もなく、
みんなで一緒に様々な練習曲を弾き続け、歌い続け、
時間が来るといきなり終わる。
  
雑談の余地はほぼない。
テクニック向上が目的なら、きっと物足りない。
和気あいあいを楽しみたい人には、たぶん退屈だ。
  
でも、課題や目標に向かっていくエネルギーも、
人と接する喜びを感じる余裕もない今の自分には、
無心になって、音楽を奏でる楽しみに浸れる
この時間がうれしい。

6弦のギターの音は豊かで深い。
でも今は重い。
4弦のウクレレの素朴な音は軽やかで、
自分のためだけにあるように愛おしい。
自分で弾くたどたどしい音に癒される。

でも、今日は疲れた。ちょっと横になろう。