2009年11月28日土曜日

メルヘンライアーという楽器

PIXTA用の写真素材として面白いものはないものかと、仕舞い込んだ古いものなどを物色していたら、「メルヘンハープ」と書かれた小さな楽器が出てきた。長さ30㎝ほどの耳のような形をした楽器で、弦はちょうど1オクターブ分の8本。

思えばもう15年以上も前になるのだが、Mac関連の書籍を数冊出させていただいたことがあった。

そのどれかの付属プロッピーディスク(懐かしい!)に、オリジナルの稚拙なメロディー音を入れておいたら、突然見知らぬ方から「そのメロディーがとても気に入りぜひ自分の作品にそのサウンドデータを使わせて欲しい」というご連絡をいただいた。

言わば著作権に配慮した使用許諾願いである。非常にご丁寧な方だなと思って即了解したら、なんとお礼にと、この「メルヘンハープ」を送ってきてくれたのだった。「もう使わなくなったのでお譲りします」と手紙が添えてあった。

   
当時はあまり興味が持てずにすぐに仕舞い込んでしまったが、今回あらためて調べてみると本来はライアー(Leier:竪琴の意のドイツ語)と呼ばれる楽器だとわかった、新品なら当時で3万円以上するドイツ製の輸入品である。

このライアーという楽器は1926年にドイツで考案されたという。ピアノから外側のボディーや鍵盤を取ってみたら、残るのは弦とそれを支える骨組みだけ。それを指の平で弾いてみたらどうなるか、ということからこの楽器ができたのだとか。その発想が面白い。

音がとても小さいため、音楽を演奏して人に聴かせるというより、1人で心を静めるために用いたり、心理療法のために用いられたりするという。そしてその仲間で一番小さいものが、この「メルヘンパープ」こと「メルヘンライアー」なのであった。

普通はペンタトニック(レ・ミ・ソ・ラ・シ・レ・ミの5音階)に調弦するらしいが、取りあえずダイアトニック(普通の全音階)に調弦して鳴らしてみた。

小さな音
繊細な音
自分に向けた音

なんだ、これはカリンバやウクレレと同じじゃないか。まず自分を癒すための小さな楽器。また新しい音に出会えてうれしい。ずっと待っていてくれてありがとねメルヘンライアーちゃん。

ちなみに送っていただいたライアーは、「東京アルゲンスムーシカ」で手に入れたものとのことであった。でも今見てみたら「メルヘンライアー」は見当たらなかったから、現在は貴重品なのかも。