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2026年5月21日木曜日

アンドリュー・ワイエス展に行ってきたのだ

アンドリュー・ワイエスはという画家は
ワタシが高校生だった頃の
英語の教科書に出てきたことで
とても印象に残っていたのだ。
どうやら
「三省堂CROWN 1年用Reader」
で取り上げられていたらしい。

テキストの内容はまったく覚えていないのだが、
そこに掲載されていた
「クリスティーナの世界」という作品が
妙に記憶に残っていた。

そして「アンドリュー・ワイエス展」が
開催されると知って

「あの『クリスティーナの世界』を
 生で目にすることができるのか!」


と早とちりして、内容も確かめずに
「東京都美術館」に行ってきた。

「境界」がテーマだということで、
人物が描かれた作品は非常に少なく、
窓やドアなどの「境界」を示すモチーフが中心。
そこに「クリスティーナの世界」はなかった。

しかし、あの独特な
灰茶や茶ねずの淡い色彩、
精緻だけどスーパーリアルではない
温かみのある筆致、
闇に射す木漏れ日のような光と影の世界は
十分に味わうことができたように思う。



久しぶりの絵画展、久しぶりの美術館、
そして久しぶりの上野だった。

「バンビ」の翻訳が終わって、
Kindleその他で販売が開始されたので、
ようやく一息つくことができて、
思い切って行ってくることができたのだった。

post cardを飾ってみた

ちょっと驚いたのは、
作品の写真を撮っている人がけっこういたこと。
最近は撮影OKなことが増えているらしく、
ここでも写真撮影&SNS掲載OKなコーナーが
設けられていたらしい。
そうなんだ…知らなかった、最近のトレンドなのか…。

さすがに作品を背にピースするような
迷惑な人はいなかったが、
でもシャッター音が
ちょっと気になったなったかな。


2019年8月31日土曜日

2019年夏旅のフォトブック完成!

三島・熱海・沼津に一泊で行ってきた
今年の夏旅の記録を
いつものようにしまうまプリントで
格安フォトブックにしたのだが、
昨日、その完成品が送られてきた。
  
  
熱海の花火を、
見ることに徹して写真は撮らなかったこともあり、
いつもに比べて写真少なめではあるが、
ジップラインを筆頭に
体験としてはいつもと同じくらい充実した旅だったので、
こうして記録が残るのはとてもうれしい。
  
そして、さらにうれしいことに、
今回完成したフォトブックを見て、
写真のプリント品質が向上している気がしたのだ。
  
写真も文字も、今までに比べて、
(と言っても、いつから変わったのか分からないが)
ワンランク上の美しさに思える。
にじみやジャギーのない、実に高精細なプリントだ。
  
いいねぇ、しまうまプリント。
お手軽フォトブックとしてはダントツじゃないかな。
次もよろしくたのみますね〜
  
  

2019年1月20日日曜日

「不染鉄之画集」不染鉄


たまたまテレビで目をして、

その強烈な富士の絵(本書の表紙)
「山海図絵(伊豆の記憶)」にたちまち魅了されて、
今まで聞いたこともなかった画家だったのに、
即、ネット注文して買ってしまったのが、
この「不染鉄之画集」である。
  
 2017年、没後40年を記念し、誕生の地である東京と、
 晩年を過ごした奈良の2カ所で開催された展覧会で、
 突如姿を現した無名の画家・不染鉄(ふせんてつ)。

と本の解説にあるので、

実際に、最近〝発見〟された画家なのだろう。

緻密な日本画なのだが、

幻想的で、どこか温かみがあって、
いつまでも見ていたくなるような絵。

特に農村にしろ漁村にしろ、

そこに描かれている昔の日本家屋が良いのだ。
実際にはどこも貧しい家々なのだろうが
いたずらに貧しさばかりを強調するのではなく、
穏やかな暮らしぶりがにじみ出てくる
美しい家々、そして集落なのである。
  
新年早々、強烈な未知の世界に出会えて幸せである。
  
「有名になれず こんな画をかくようになっちやった
 だけどいゝよねえ」
『春風秋雨』より



「静雨(寂光院)」
  
  

2018年7月22日日曜日

クノップフと夢幻「レダと白鳥」と

久しぶりに、
夢幻の「レダと白鳥」(1986)を聴いていたら、
フェルナン・クノップフの
ブリュージュの絵が見たくなった。
  
画集を持っていたはずなのだが見つからず、
結局ネットで画像をあれこれ漁ってから、
傑作「見捨てられた町」(1902)を
iPhoneの待受画面にしてみたら、
あらまあ、これがあまりにピッタリシックリでビックリ!
  
  
この夢幻の「レダと白鳥」は傑作だなぁ。
ボーカルの拙さ、中性的な声質、ノンビブラートな歌唱法を
どれだけ受け入れられるかで、
印象は評価は変わるだろうけど、
そして正直ワタシも100%は受け入れられないんだけど、
そのボーカルも含めて、
強烈なオリジナリティがあることは間違いない。
  
80年代当時の日本プログレ・インディーズ界の
選り抜きのメンバーとも言えるバックによる
ドラマティックな楽曲、アレンジ、演奏は、
文句なく世界レベルである。
  
さて、今日は動く気がしない。
だから動かないことにしよう。
それで良いのだ。
  
  

2018年2月3日土曜日

コンパクトデジカメを復活させてみた!

FUJIFILMのFINEPIX F80 EXRという
2010年発売の〝コンデジ〟を持っているのだが、
2014年秋にiPhoneを使い始めてから
ほとんど登場する機会がなくなっていた。
  
主に旅行中に使うことが多かったのだが、
デジカメではなくてもスナップ写真程度なら
iPhoneで十分間に合うし、
その分荷物も軽くなるからだ。
  
さらに、充電器が壊れてしまい、
充電池の充電ができなくなっていたことも
使わなくなっていた大きな理由の一つでだった。
本体は問題なく動くんだけどね。

でも、やはり画質を比べれば、デジカメの方が良い。

そして、一番違うのは、
デジカメならズームできるということだ。
FINEPIX F80 EXRなら光学10倍、
デジタルズームと併用すると40倍にまで被写体に迫れる。

そこで付属充電器互換の

USBチャージャーを見つけて購入してみた。
純正品より割安な上にとてもコンパクト。
こうしてFINEPIX F80 EXRが3年ぶりに完全復活である!

さっそく明日のウクレレミニ発表会で使ってみようかな。



  
  

2018年1月31日水曜日

皆既月食をiPhoneで撮影!


スーパー・ムーン(普段よりも大きな月)で、
ブルー・ムーン(月に2度目の満月)で、
ブラッド・ムーン(皆既食中の赤黒い月)ということで、
〝スーパー・ブルー・ブラッド・ムーン〟とも言われる
今夜の月を、手持ちのiPhoneで撮影した。

欠け始めたところ

完全に欠けたところ
  
 もちろん普通の「カメラ」アプリではボケボケになるので、
「MuseCam」というアプリを急遽ダウンロードして、
ISO感度、シャッタースピード、焦点距離を調節して写した。
  
デジタルズームを最大まで使っているので、
クリアとは言い難いが、雰囲気や色の感じは残せたかな。

ああ、寒かったけど、
リアルタイム天体ショーと
月撮影チャレンジの両方で、なかなか面白かったぞ!
  
  

2018年1月8日月曜日

「ひとりじゃなかよ」西本喜美子

西本喜美子写真展「遊ぼかね」を見に行って、
あのおばあちゃんのようになる、と思った勢いで、
初写真集「ひとりじゃなかよ」を購入した。



「写真集」とは言っても堅苦しいものではなく、

フォトエッセイ集といった感じ。
2016年に出版された本なので、
写真展で見た写真が網羅されていないのが
残念といえば残念だ、十分楽しいけれど。
  
写真に添えられた熊本弁の短い詩が切ない。
もっと生きたい、もっと写真を楽しみたい、
そんな思いが随所にあふれていて胸を打つ。

そしてまた
メインストリームから外れたものへの優しい眼差しも、
老いた自分への悲しみを感じさせる。

ただおちゃめなだけ、美しいだけじゃない、

そんな思いが込められた写真なのだな。
だから心にしみるのだ、きっと。
  
  

2018年1月6日土曜日

「自撮りおばあちゃん」西本喜美子の写真展『遊ぼかね』


西本喜美子の個展『遊ぼかね』に

昨日な〜こと行ってきた。
72歳で写真を始め、現在89歳の現役写真家だ。
こちらに詳しい紹介がある。

コミカルな自撮り写真やデジタルアートが並ぶ。

特にその自撮り写真は
ご本人のすっとぼけた表情と
過激&コミカルな絵面が衝撃的である。

車に轢かれていたり、

ゴミ袋に入って捨てられていたり、
魔法使いの格好で宙に浮いたまま仏壇に手を合わせていたり、
物干しにコートごと干されていたり……。

「バカっぽい(超良い意味で)」


と思わずほほが緩む。




画像処理ソフトを使った作品は

一転してカラフルで幻想的なもので、
その落差にもクラクラする。

決めた!
ワタシは、この方のようなおばあちゃんになる!
(男だけど……)

西本喜美子写真展『遊ぼかね』は、

新宿三井ビル一階にある
エプソンイメージングギャラリー エプサイトにて
1月18日まで開催中だ。

facebookはこちら。


  

2017年2月20日月曜日

ART-Meterが東急ハンズからThisis株式会社へ

ART-Meterは
2005年にオンラインショップとして開始し、
2007年に自由が丘にリアルショップもopenしたが、
2011年に恵比寿に移転し、
2014年春にはその運営が
株式会社カヤックから東急ハンズに移った。
  
そしてこの2017年春に、再び運営が
東急ハンズからThisis株式会社へ変更となるのだそうな。
    
正直、このところART-Meterには力を入れていないし、
すべてが新会社へ引き継がれるということで
こちらがやらなければならないことも
特段なさそうなので、
そうなんだ、程度の実感である。
気をつけなきゃいけないのは、作品の送り先が
新宿から麻布十番に変わるということぐらいかな。

でも、こうやって変更がくり返されるというのは
やっぱりちょっと心配である。
ART-Meterというやり部門が、
ちょっとお荷物的な感じなのかもしれない。
例えば、絵画販売収入よりも
システム維持費の方がかかってしまう、みたいな……。
  
ただ、そのThisis株式会社は
「This Is Gallery」というアート販売・購入サイトを
2015年から運営している会社である。
カヤックも東急ハンズも、
絵画販売はマルチな業務の一部門だったことを思えば、
運営の専門性は高くなったのかもしれない。
  
ART-MeterやPIXTAの活かし方についても、
少し考えないといけないなぁ、と思いつつ
時間ばかりが過ぎてゆく2017年2月下旬である。

な〜こと一緒に
自由が丘の店舗を訪問した頃が懐かしいなぁ。


2016年7月11日月曜日

「Virgil Finlay幻想画集」

目的の本がわかっている場合は、
ネットで探すのが手っ取り早い。
でも、何か面白い本とか
思いもよらない本とかに遭遇するのは、
本屋さんをふらふらとさまよい歩いている時だ。

今日出会ったのは

「ヴァージル・フィンレイ幻想画集 」。
絵は時々目にして、気になっていたのだが、
画家の名前すら知らなかったので、
これも縁だと思って
思い切って購入したのであった。



超繊細な点描法とクロスハッチング。
う〜ん、気の遠くなるような描き方だ。
面白いぞ。

2015年1月28日水曜日

久しぶりにPIXTAが売れたのだ!

PIXTAで絵が売れた。
「自然の溶鉱炉」という作品である。
かなり最初の頃の作品である。


ソフトができることも限られ
パソコンも小さなノートだったけれど、
何かを掴もうというパワーがあるな。

2014年12月6日土曜日

六義園ライトアップ!

今年も六義園りくぎえんのライトアップを
な〜こと一緒に見に行ってきた。
一昨年から連続三回目である。

まだ使い始めて間もないiPhone 5cでの撮影だ。

機能がまだ良くつかめていないのだが、
それなりにうまく撮れたかな。
やっぱり 暗くなるとちょっとツライけど。

今年は訪問したのが遅めなこともあって色が濃い。

そのせいか、今までより妖しさが増している気がして、
ちょっと毒々しい雰囲気すら漂っていた。

な〜この計画により

日没前と日没後とで二周したのだが、
妖しさが違うのがまた面白かったなぁ。
以下の写真からも
次第に空やあたりが暗くなっていくのが
お分かりいただけるであろう。




ちなみにこの「紅葉と大名庭園のライトアップ」は
12月7日(日)までである。


2014年10月23日木曜日

ART-MeterとPIXTAで作品が売れた!

まずデータ販売のPIXTAで2点。
カリンバの写真とCG。

新規登録ご無沙汰中だけどデジタルデータだから
作品が品切れになることがないのはありがたいなぁ。
昔はCG以外にもあれこれ登録していたのである。

籐籠の上のカリンバ

自然の溶鉱炉

そしてこちらも新規登録をずっと御無沙汰中のART-Meter。
こちらは「品切れ」になっちゃうのでなんとかしなきゃと思いつつ、
もう一年以上新規登録できていないのだ…。
デザインフェスタが終わったら、なんとかしよう…。

 奇岩のカーテン
どちらも微々たる金額ではあるが
やっぱり買っていただけるというのはうれしい。
PIXTAはデータだけのやりとりだからどうしようもないけど、
ART-Meterの方は現物郵送の際に
オマケのポストカードを3枚つけちゃうよ。


2014年10月5日日曜日

「ハイジ」の挿絵をレイアウト

テキストの校正作業に入る気合いがまだ入らないので、
「ハイジ」の挿絵33点を画質調整した後でレイアウトして
全体をKindle用mobiファイルにしてみた。

表示はNexus 2012である。


白黒の方は、今回利用したpublic domain書籍が
独自に部分着色したもののようなのだが、
版画のような色調がなかなか味わい深い。
カラーの方は、リアルというより
色彩、構図、ポーズ、どてもドリーミーって感じかな。

やっぱりJessie Willcox Smithの」本領は
デッサン力の高さが感じられるモノクロ線画の方だろう。

やっぱり書籍のかたちにすると、
また意欲がわいてくるのであった。

2014年3月10日月曜日

川瀬巴水

川瀬巴水(かわせはすい)という版画家の作品展が
千葉美術館で一月末までやっていて気づかず

「おっ、高島屋で今日までやってる!」

と知って強風の花粉攻撃に耐えつつ出かけようかと思ったら
高島屋は高島屋でも「大阪高島屋」であった…ぎゃふん
  



巴水の絵を見ているともちろん
かつてあった“美しく懐かしい日本”を思い起こさせてくれるのであるが
不思議なことにその絵を見ていると
“美しく懐かしい日本を描いた日本のアニメーション”をも
思い出させてくれるのである

例えばジブリ作品の田舎の風景とか深海誠作品の空とかだ

もちろん巴水は大正から昭和にかけて生きた人だから
時代的には逆であって巴水の作品が先にあったわけだ
日本のアニメーションが意識的に影響されたかどうかはともかく
実に良く似ているのである

多分版画という技法がそうさせたのかしれない
現在は主版(輪郭線)を彫らない技法もあるようだけど
一般的に版画と言うと浮かぶのは黒い輪郭線だ
この輪郭線を描いた上で色彩を付けていくというのが
実にアニメーションに似ているんだろうと思う

また版木を彫る上でひたすら細密に彫り進めるだけでなく
大胆に省略しながらいかにどうやって質感や重量感を出すかも
表現上の大きなポイントになるだろうと思うが
それもまた登場するキャラクターとのバランスで
ただリアルに描き込めば良いわけではないアニメーションの背景画と
似ているんだと思う

個人的にはCGにも似ている気がしたのだ
版画の場合だと基本的な構図や輪郭はそのままで
重ねる版木やのせる色を変えることで
“別バージョン”のようなものが生まれるのだが
それはCGで空気感や天気や太陽の位置などを変えて
同じ構図で別の世界を作る作業に似ているのである

次に機会があったらぜひ生で見てみたいなぁ

2012年5月21日月曜日

金環日食ショー撮りました!

神奈川県のこのあたりでは
7:35分から始まった世紀の天体ショーであった
あいにくの曇り空だったのに
天の岩戸が開くように
日食の瞬間雲が消えたのだった
  
 雲間の太陽を直接撮った写真
(モニターを斜めから見てるので太陽は見ていません)

 日食グラス(減光フィルター)越しに撮った写真

 望遠鏡などによる専門的な写真ではなく
ハンディ・デジカメでズームした写真だけど
ラフな絵が、誰もが体験できるショーだったことを物語る
ちょっと雰囲気のある記録となったかな

2011年10月14日金曜日

「模索舎」に行ってきたのだ

自費出版本を取り扱ってくれる書店は多くない
でも都内でもう一件
そうしたお店あることがわかり
メールのやりとりをしていたのだ

そして昨日午後
体調がそこそこ回復したので
画集を納品しに行ってきたである

そこは「模索舎」という平屋の小さなお店であった
先日画集の依託をお願いした「タコシェ」と比べて
同じように自費出版や自主制作モノを扱っていても
店の様子が随分と違っていたのが面白かった
 
 「模索舎」外観(同サイトより)
 
「タコシェ」はどちらかというとオタク・サブカル的だが
「模索舎」は思想的・反体制的な臭いがプンプンするのだ
市民活動団体の作成物や政治党派の機関誌類も置かれ
各種社会問題を扱った書籍が棚にずらりと並ぶ

芸術関係でもサブカルチャーというよりは
かつての“アングラ”的な雰囲気が漂う
CDも灰野敬二などの硬派インディーズ系が並ぶが
そんな中で アレアやアルティ・エ・メスティエリを擁する
イタリアのクランプス・レーベルが揃えられていたのが面白かった

 各コーナーを見ただけでも濃さがわかる(同サイトより)

委託販売の手続きはあっけないほど簡単に終った
一見した店の雰囲気とは違い
取り扱う書籍の中身をを
一つ一つ吟味するわけではないのだ
できるだけ早くサイトで紹介してくれるという
嬉しいことである

ただどうなんでしょう…
やっぱりちょっと場違いな感じがしないでもない
もちろんサイト上ではこれほど濃い雰囲気はしないけどね

でもそれもまた面白いじゃないかと思う
それにこうした店に足を運ぶきっかけになっただけでも
画集を作ったことが
なかなか貴重な体験につながった気がする

子どもの頃に学生運動をテレビで観ていたわたしは
「しらけ世代」とか「新人類」とか呼ばれた世代にあたる
でもまだ学生運動の名残りや痕跡があちこちに漂っていた時代で

「就職が決まって、髪を切ってきた時〜♪」

と歌われる「『いちご白書』をもう一度」に
学生運動後の空しさを感じ取ったりしていた
わが青春時代であったので
どこかしら店内の雰囲気に懐かしさを感じてしまった

ブリキ看板や万博とは違う
ディープな昭和を見たような
そんな体験であった

「タコシェ」も「模索舎」も
また行ってみたい本屋さんである

2010年12月18日土曜日

「マックスフィールド・パリッシュ」

  
ドイツのプログレッシヴ・ロック・バンドであるヴァリス(Novalis)の「Sommerabend(過ぎ去りし夏の幻影)」の表紙が好きで、まさにアルバムのサウンドにピッタリだと思っていた。

ただそのタッチにはアール・ヌーボーを代表するグラフィックデザイナーであるミュシャ(Alfons Maria Mucha)が描く、イラスト風な雰囲気もそこはかとなく感じられて、アルバム用に描かれたのではなく一個の作品としてあったものを使用したんじゃないかと漠然と思っていたのだった。

今回このアルバムを紹介するにあたってジャケットについても調べてみたところ、アメリカの画家・イラストレーターMaxfield Parrish(マックスフィールド・パリッシュ:1870-1966)の「森の少女」(1900)という作品であることがわかった。「Scribner's」というイラスト雑誌の表紙(左図)に使われたもののようである。オリジナルはジャケットほどグリーンなイメージというわけではない。
  
  
実際に画集を見てみると、「幻覚を起こさせる」と言われていた「パリッシュ・ブルー」と呼ばれる何とも表現しがたい青色が特に印象的であり、ライトを間近で当てたような強い光と陰の描き方も面白い。
そして人物や背景や、それらを含めた構図と色彩が、どこかこの世とかけ離れた不思議な世界を感じさせてくれるところがまたいいのだ。リアルな人物とシュールな背景の組み合わせの妙と言うか。

プログレッシヴ・ロック関係では、イッツ・ア・ビューティフル・デイの1st「It's a Beautiful Day」や、ムーディー・ブルースの「Present」は、ノヴァリスとは違ってパリッシュの作品そのものではないが、明らかにパリッシュを意識したジャケットだろう。特に後者はパクリと言ってもいいかも。

ジャケットではないが、日本のバンド四人囃子の2nd「ゴールデン・ピクニックス」のラストに収録されているインストゥルメンタル作品「レディ・バイオレッタ」は、パリッシュの同名の作品(下図)からインスピレーションを得て作られたのだとか(LP付属のライナーノートより)。

   
写真の本(上)はPARCO出版局(1987年出版)のものだが、今は手に入れることは困難な状態である。わたしはたまたま古本で見つけてゲットできた。現在日本で出版したマックスフィールド・パリッシュの画集はないという状況は、非常に残念でならない。

ちなみに全くの想像ですが、「HANA-BI」あたりから北野武監督の作品に対して、“キタノ・ブルー”という言葉がよく使われるようになったけれど、そもそもはこの“パリッシュ・ブルー”という言葉が欧米文化人の一般知識としてあった上で、生まれた表現だったんじゃないかっていう気が、ちょっとしたのだった。
  

2010年7月16日金曜日

タマラ・ド・レンピッカ

すでに展覧会は終わってしまったが
遅ればせながら
タマラ・ド・レンピッカ(Lempicka)に興味を持った
たまたまつけていたテレビで取り上げていたのだ

展覧会を知らせるパンフレットの
緑の服の女性(「手袋をした娘」1929)は気になっていた
  

何とも言えぬ力強い線と鮮やかな色
そして鋭く美しい目
キュビズムの香り漂う強い影や
背景のオブジェとの不思議な一体感

その生涯も1920年代という激動の時代
激変する社会の中で芸術と社交と恋愛に生き
やがて才能がありながら
自分を見失っていく彼女

そして若くして描いたアール・デコ期の作品だけが
再評価され続けるやり切れない晩年

しかしその一瞬の煌めきは
観るものを釘付けにする
わたしも思わず「レンピッカ」の本を注文してしまった

テレビの解説で面白かったのが
例えばピカソは女性が変わると画風が変わる
しかしレンピッカは
そうした内面の変化ではなく
流行を追うことで生き残ろうとし
結局時代の変化とともに
葬り去られてしまったというところ

しかし
時代を捉えることは並大抵のことではない
だからそれは輝きを失わず
日の目を見るチャンスをうかがっているのである
そして時代の時々に再評価され続けていく

そんなことを考えさせられる絵である

2009年4月21日火曜日

「荒木経惟写真全集第3巻 陽子」荒木経惟

  
「荒木経惟写真全集第3巻 陽子」(荒木経惟、平凡社、1996年)は、平凡社が出した「荒木経惟写真全集」全20巻の中の第3巻、タイトルの通り、天才“アラーキー”こと荒木経惟の奥様である陽子さんの写真を集めたものだ。

「東京人生 SINCE1962」を買って、そのモノクロームの魅力に魅かれ、今度は風景中心よりも、人物を撮った写真が見たいと思った。エロ全開写真もまた“アラーキー”らしいんだけど、この表紙の写真がとてもすてきで、思わず購入してしまった。家に帰ったら届いていた。すでに夜遅かったが、見始めてしまった。

荒木夫人陽子さんは1990年に亡くなられている。この写真集は陽子さんとの出会いから、1971年に結婚し、約20年生活を共にしていた女性の、実に様々な表情を切り取った作品だ。写真に写っている女性は、“恋人”であり、“妻”であり、“愛人”であり、“少女”であり、“婦人”であり、“娼婦”であり、“淑女”であり、でもそのどれでもないようでもある。その収まり切らなさに引き付けられる。
   

   
陽子さんという奥様の持つ、どこか奥深い何かを見つめているような視線や表情の力、“アラーキー”がそれを追い求め、引き出す力。無防備に自分をさらしている陽子さんの魅力と、それを可能にしている二人の信頼関係や愛情の深さ、と言うか、一人の男と一人の女の、結びつきの深さを感じる。
   
   
取り立てて美人というわけでもないのだけれど、魅力的な、とても魅力的な表情をする人だなぁと思う。“アラーキー”が惚れ抜いたのが伝わる。その思いが伝わるから見ているうちに陽子さんに惚れてしまう。だからなおさら最後は泣けてくるんだけど。

陽子さんの文章も載っている。
   
「また明日も来てあげるから、と言いながら彼は私の右手をギュッと握りしめる。それは握手というより、夫の生命力を伝えてもらっているような感じで、私はいつも胸がいっぱいになった。彼の手は大きくて暖かく、治療に疲れて無気力に傾きそうになる私の心をゆさぶってくれた。」
   
  
既発の写真集からのセレクションだけど、宝物のような一冊。

(写真及び引用文はすべて本書より)