2008年10月31日金曜日

御見舞メール

■「ずーっと全力で走ってこられたわけですから、 きっとおてんとう様が『ここらでじっくり休まねばたいへんなことになりますよ』とおぼしめしたんですよ」
  
■「とにかく今は、復帰とか辞めるとかは忘れて、ゆっくり寝ることをおすすめします。 休むのも、今はりっぱなお仕事だと思います。」
  
■「教員だからいつも元気ってわけにはいかないですよね。休んでとまってというのが今のタイミングなのだと思います。」
  
■「メールはとてもうれしいです。わたしのつまらない経験でも、少しでもお役に立てるなら、病気になった甲斐があるというものです!」
  
■「悪いなぁとか思う必要、全然ないっすよ。風邪と交通事故と台風が来たようなもんですから…あまりによくわからない例えでしたが…(苦笑)」 
  
■「リセットに何か役に立てれば、私も幸せです。」
  
■「まじめなんらからあんまり一生懸命になっちゃダメにゃん」
誰一人として「どうして?」とも「がんばれ!」とも言わないでくれた。
本当に幸せだと思う。

いや、一人いた。

■「どうして来てくれないんですかぁ~(涙)」
っていう、生徒からのメール見て
寝込んだんだった。
  
   

2008年10月30日木曜日

寝言

彼女の寝言で夜中に目が覚める。
彼女の寝言は、起きているみたいに自然だ。
   
「う~ん、なんて言ったっけ、あの人~」
   
なんだ、なんだ?
あ、寝言か。
あの人って誰だ?

朝一番に彼女に言う。
   
「桜塚やっくん、だよね?」  
「ん? あっ、そうそう、よく思い出したね~」

数日前に
   
「最近見かけないねぇ。あの、男なのにスケバンの格好してた人」   
「あ~、スケバン恐子ね。あの人なんて言うんだっけ?」   
「あ~、思い出せない~」   
「なんだっけねぇ~」
   
という会話をしていたのだ。

「夕べ寝言で質問されて、思い出した。」
   
と言ったら、
突っ伏してウケていた。

幸せな時間。

電話

家の電話が鳴っている。
職場からだ、きっと。
出たくないけど、でも仕方ない。
  
ワイヤレスの子機を取る。
穏やかな男性の声が聞こえる。
やっぱり職場からだ。
近況を報告する。
新しい診断書と一緒に近況報告送ってあるのに。

テレビの音がうるさい。
相手の声が聞こえない。
切れたかな?
全然聞こえない。
実家の、今はなくなった薄暗い階段を上り、
二階へ行く。

昔の職場の卒業生とその彼女がいる。
誰だっけ?
うれしそうに話しかけてくる。
私もうれしくて、なぜかとても安心する。
そうだ、電話だ。
   
「今電話中だからちょっと待って。」
  
でも受話器がなくなっている。

受話器を探す。見つからない。
一階へ降りる。
あった。よかった、まだ切れていない。
  
「もしもし、もしもし」

でも聞こえてきたのは、
聞いたことのない、お婆さんの声。

そこで目が覚める。
病休の延長をお願いする手紙を、
新しい診断書と一緒に職場に送った日の夜の夢。

  

2008年10月29日水曜日

パイロットよ

その飛行機は、
一人のパイロットを乗せて、
着陸して休むことをせずに、
空中給油を繰り返しながら、
ずっとずっと大空を飛び続けていました。

あちこちの部品が悲鳴を上げ始めても、
前へ前へ、
機体が嫌な音を立て始めても、
前へ前へ、

飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで飛んで、
飛び続けて、
そして

とうとう空中分解してしまったのでした。

今、パイロットは広い広い海の上、
救命ボートに傷ついたからだを横たえて、
飛行機を壊してしまったことを悔やみ、
飛行機に乗れなくなったことを悔やみながら、
一人波間を漂っています。
船酔いにも苦しめられながら。

パイロットよ、悔やむことはないのだ。
それがあなたの生き方だったのだから。

  

2008年10月28日火曜日

病休前夜

通勤途中で辛くなって、途中下車した。
三日休んだ。
職場の最寄り駅に着いて、そこから先へ行けなかった。
また三日休んだ。
  
職場の一日を思い浮かべる。
一つ一つ考えれば、大したことではなさそうなのに、
それなのに、行けなかった。

やがて一週間最後まで休まずに行けるか、
不安に思うようになった。
そして
  
「今年度で仕事やめよう!来年の3月で終わりにしよう!」
  
と、自分に言い聞かせながら出勤するようになった。
そうやって職場まで、
重い足を一歩一歩前へ動かす。

そのうち、職場で同僚と一緒の部屋にいられなくなった。
理由もなく、ただただいたたまれなくて、
空いている部屋を探して、仕事を持っていった。

仕事が終わっても、続けているふりをした。
トイレの個室に入って何度も深呼吸をして、
気持ちを奮い立たせた。

そんな時、何の理由も亡く突然涙が出そうになった。
動揺した。

さすがに自分はマズいことになっていると思った。
その日は午後から休暇をもらい医者を探し、
翌日午前中に受診、
「適応障害」と診断され、すぐに病休に入ったのだった。

誰にも気づかれず、誰にも相談せず、
一人で戦っていた毎日。

こうして振り返ってみると、けっこうえぐい。
  
  

2008年10月27日月曜日

脱力

今日は
安定剤と睡眠薬を飲んで寝ることにする。

ここ数日、薬を飲まないでがんばっていた。
ちょっと急ぎ過ぎた。

脱力しきれていない背中を、
   
「力抜いて〜、抜いて〜」
  
って言いながら
さすってくれた彼女の手を思い出す。
あたたかい気持ちになる。

それから腕の中で幸せそうに目を閉じて、
余韻にひたりながらヨダレをたらす彼女を思い出す。
   
ちょっと元気が出る。
脱力のお手本。
  
  

牛乳

細くジグザグに伸びる山道を登っていた。
ジグザグの折り返しのところに、職場の同僚が二人いた。

「だいじょうぶ?」

と声をかけてくれた。
もちろん山登りのことではなく、
久しぶりに会っての挨拶だ。
二人ともとても気をつかってくれているのがわかる。
  
二人だけで世間話とかもしている。とても自然に。
それがいたたまれない。

そろそろ給食だ。
二人は教室に行く時間だ。
この場から逃げられる。
そう思いながら、すでに山道を降り始める。
早く帰ろう。帰ろう。

道端に落ちている段ボール箱に、
持ち帰らなければならない書類が入っている。
いつものデイパックに書類を押し込む。
早くこの場を去りたい。
書類がくしゃくしゃになる。
段ボールにはビン牛乳が3本入っている。
このままだと無駄になる、教室に持っていかければいけない。

「誰か、誰かこの牛乳を持っていってください!」

そこで目が覚めた。
心臓がドキドキしていた。
部屋の暗がりから何か出てきそうだった。

復職は無理だと思った。



  

2008年10月26日日曜日

立ち食いそば屋の夢

私はお腹をすかせている。
いつものように立ち食いそば屋を探す。
駅構内と思われる雑踏の奥に見えたお店に立ち寄ると、
カウンターの向こうで白い割烹着を着たおばちゃんが、
壁に寄りかかりながらこぼしている。

「どうしてラーメンが売れないんだろうねぇ…」
   
立ち食いそば屋でラーメンってめずらしいけど、
売れないのはメニューに
「ラーメン」って書いてないからじゃないかな、
そう思いながら「ラーメン」を注文する。

「ちょっと時間かかりますけど、いいですか?」

と聞かれ、
時間がないと思っている私は

「それはちょっと…」

と言いよどむ。
すると

「じゃあこれをどうぞ」

と、なぜか、シラスの乗ったご飯を出されるのだ。
  
「これはサービスです。」
  
とか言われて。

そんな夢を見たと彼女に話すと、
シラスご飯に吹き出した後、

「夢の中でも気をつかって、ラーメン注文してあげてるんだね〜」

と言われた。
なるほど。

2008年10月24日金曜日

雨の日

今日は一日雨。雨の日は落ち着く。

病休に入る前くらいから晴れた日が嫌になっていた。
それまでは逆に、ギラギラのうだるような夏の陽射しをうけながら、
Tシャツやタンクトップでいるのが大好きだったのに。

でも今は晴れた日は、

「さぁ、いい天気だ!アクティブに行こうぜ!」
  
って、動くことを当然のように急かされてるようで
今は居心地が悪い。
思うように動けない自己嫌悪を刺激される。 

子供のころ母親が
  
「土曜の夜に雨が静かに降っていて、
 お布団の中で、あぁ、明日はみんなお休みだし、
 雨でお洗濯干さなくてもいいから寝坊できるって
 雨音を聞きながら思ってるのが幸せだね〜」
   
って言っていた。
雨にはそんな安心感を抱く。
そうか、当時母もひどく疲れていたのかもしれないな。

それでも最近晴れの日もいいなと思えるようになってきたかな。
それはきっと、季節が秋になって、
陽射しが柔らかくなったからかもしれない。
こうしている間にも、季節が変わっていくんだなぁ。
あっ、また少し自己嫌悪。

2008年10月23日木曜日

今日からスタート

仕事をすることがどうにも苦しくなり、職場へ行けなくなり、
近くの精神科へ駆け込み、「適応障害」と診断され、
病休生活を始めて、はや一ヶ月となった。

体調の悪さと、ひどい自己嫌悪と、
仕事への復帰不安などを抱えながら、
まずはよくこの劇的な生活の変化によく耐えた。

思えば今まで働き詰めだった22年間、本当によくがんばったなぁ。
この一ヶ月でいろいろな人に励まされて、やっとそう言えるようになった。
    
今までのように、心にため込むことをやめて、
自分の好きなこと、楽しいこと、うれしいこと、
そして悲しいことや、辛いことも含めて、
自分の気持ちを綴ることで、
自分の新しい世界を見つけていきたい。