2010年2月26日金曜日

フィギュアスケートの鈴木明子選手

うかつにもわたしは
トリノオリンピック女子フィギュアで
堂々の8位入賞を果たした
鈴木明子選手が乗り越えて来た苦悩を
今まで知らなかった

現在24歳の鈴木選手が
大学時代に「摂食障害」であったということを
今日初めて知ったのだ
 
「摂食障害」とは拒食や過食を伴う精神疾患の一つだ
摂食障害には抗うつ薬が効果的と言われるくらい
「うつ病」とも関係が深い
 
彼女の摂食障害は2003年の大学進学とともに
独り暮らしを始めた頃に始まる

「拒食症で食べ物がのどを通らなくなり、体重がみるみる落ちた。コーチらの前では普通に食事できても、一人になると食べたものを戻してしまう。身長1メートル61、47キロだった体重は入学から2か月でわずか32キロになった。」YOMIURI ONLINEより)

体重管理と体形維持への厳しいプレッシャー
それを完璧にこなそうとしたことからの発病
結局2003年と2004年のシーズンは
体調が戻らず競技に参加できなかったという

復調が実感できるようになったのは
異変を感じてから3年が過ぎた
大学4年の頃だったのだとか

他の選手とは何か深いところで違う気がしていたのだ
それは前任校で
そうした精神的な課題を持った生徒と
接する機会が多かったから
似たものを感じていたのかもしれない
  
あの華麗な女子フィギュアの世界には異質な
重いものを背負ったような独特の雰囲気
ちょっと複雑な笑顔
自分の大事な部分は決して見せようとしないような目

メダルを取りたいとか入賞したいとかいった
結果への意欲を語る発言とは異なり
  
「見ている人を幸せにしたい」

という主旨のコメントを常にしていたのも彼女だけだった

見ていて華やかな気分になるスケートとはちょっと違う
可憐なスケーティングでも
大技を見せるスケーティングでもない

しかしフリーで見せた
本当にうれしくてうれしくてたまらないというような
全身をフルに使った躍動感あふれるステップは
一種壮絶な感じがするほど素晴らしかった

金メダル争いを演じた2人も凄かったし
復活した安藤美姫が見せた世界観も印象的だった
でも鈴木明子のステップには
他の選手には見られない荒々しいパワーを感じた

今回の女子フィギュアで
一番印象に残ったのは
あのステップだったかもしれない

ちなみにちょっと調べたら
2008年にはピアソラの「リベル・タンゴ」
滑っていたんですね
これが超カッコイイです
(写真は共同写真より)