2023年3月20日月曜日

「シン仮面ライダー」を見てきたのだが……


「シン・ウルトラマン」は
庵野秀明企画・脚本だが、
監督は樋口真嗣だったから、
庵野秀明監督による実写作品としては
「シン・ゴジラ」以来となる
「シン仮面ライダー」を見てきたのだ。

まず率直な感想を言うと、
わたし的にはダメであった。

「シン・ウルトラマン」にも
ステレオタイプなキャラクター造形を感じたが、
それ以上に今作では
主役の一人である緑川ルリ子が
いかにもありがちなツンデ・レキャラで
冷たさを言葉だけで主張して、
最後にやさしさを出して
観客を泣かせようという流れが
見ていて白けちゃったのである。

演技がどうこうというより、
お決まりのような台詞回しがダメだったなぁ。
だから仮面ライダーがルリ子の遺言を聞いて
泣き崩れる場面でも、
まったく共感できなかったのだ。

勝手にバッタ・オーグにさせられた主人公の、
怒りや悲しみや孤独も、弱過ぎる。
いや、誰の言葉にも説得力がないのだ。
だからまったく感情移入できなくて、
シラケた物語を延々見せられることになるのだ。

1971年のTVシリーズや
石ノ森章太郎の原作漫画を
リスペクトしたりオマージュしたり
忠実に再現したりしているらしいのは分かるけどね。

だから小ネタとしてニヤリとさせられるものが
あちこちに配されているのだろうが、
さすがに大筋として、
仮面ライダーとショッカーが
とても小さな閉じた世界の中で
ケンカしている感じが拭えなかった。

怪人オーグを造る意味も役割も、
全然はっきりしないし。

1970年代の善悪がシンプルだった時代に、
小学生にとってはリアルだった設定も、
いくら今風な言葉で焼き直してみても
説得力がないということかな。

そのケンカも、
TVシリーズのような
見栄を切ったアクションによる
肉弾戦感覚は薄いし、
見ごたえのある爆破シーンも少ない。

つまり、話が今の時代とリンクせず、
キャラクター造形が陳腐で、
派手な見せ場に欠けるのである。

何回か見ればまた違ってくるのだろうか?
でも何回も見たいとは思えないなぁ。