2009年9月22日火曜日

マスタリング技術の進化


2009年9月9日、Beatles(ビートルス)のリマスターCDが全世界同時にリリースされ話題を呼んでいる。わたし個人はBeatlesのアルバムは限られたものしか聴いていないが、それはまさに“老後の楽しみ”として取ってあるのである。

それはそれとして、雑誌「ストレンジデイズ 2009年 11月号」のインタビューで、レコーディング&マスタリング・エンジニアの葛巻喜郎氏が言っていた。
「実はマスタリング技術も機械も進化して、本当に良い音でリマスター作業ができるようになったというのは、ここ二、三年のことなんです。00年くらいから良いソフトとかが出て来て、07年くらいからなんです、本当の進化は。それまでの問題は、CDという素材の問題と、プレスという工場の機械の問題、加えて僕らマスタリング・エンジニアの勉強の問題。“こういうふうにすれば、こういうふうになる”というノウハウのようなものが確立されてきたのも、ここ二、三年くらいなんです。だからここ二、三年で出ているCDというのはものすごくよい音になっています。」

だからBeatlesのリマスターCDがこの時期、つまり2009年に出ることには「十分納得できる話」だと言うのだ。

何とビックリである。1982年のCD登場から27年。今やっとCDのポテンシャルを完全に引き出せるようになったと言うことか。

そうすると、ことあるごとにリマスター盤が作られてきた有名どころのアルバムにも、ある程度意味があったことになる。

紙ジャケットにしたりボーナストラックを入れてみたり、果てはLP当時の帯をつけてみたりと、何らかの付加価値をつけながら、リマスター盤と称して再発が繰り返されていたのは、商魂丸出しな感じがしていたものだが、もちろんそういう部分もないとは言えないだろうけれども、リマスター技術のたゆまぬ進歩による、それぞれの時点での最高の音が刻まれていたということなんだな。

そりゃあ中には音圧を必要以上に上げて迫力だけ出そうとしてみたり、楽器のバランスを大きく変えてみたりというような無茶なリマスターもあっただろうけど。

しかしそうなると、究極的には全CD買い直しっていうことですか。少なくともLPレベルの、あるいはレコーディング時レベルの音で聴くことにこだわるなら、ここ二、三年以後にリマスターされたCDで聴きましょうってことですものね。

無理だ〜
それでは破産してしまう〜
音の善し悪しとは別に
今のコレクションが大切なコレクションなのであります。