2010年7月16日金曜日

タマラ・ド・レンピッカ

すでに展覧会は終わってしまったが
遅ればせながら
タマラ・ド・レンピッカ(Lempicka)に興味を持った
たまたまつけていたテレビで取り上げていたのだ

展覧会を知らせるパンフレットの
緑の服の女性(「手袋をした娘」1929)は気になっていた
  

何とも言えぬ力強い線と鮮やかな色
そして鋭く美しい目
キュビズムの香り漂う強い影や
背景のオブジェとの不思議な一体感

その生涯も1920年代という激動の時代
激変する社会の中で芸術と社交と恋愛に生き
やがて才能がありながら
自分を見失っていく彼女

そして若くして描いたアール・デコ期の作品だけが
再評価され続けるやり切れない晩年

しかしその一瞬の煌めきは
観るものを釘付けにする
わたしも思わず「レンピッカ」の本を注文してしまった

テレビの解説で面白かったのが
例えばピカソは女性が変わると画風が変わる
しかしレンピッカは
そうした内面の変化ではなく
流行を追うことで生き残ろうとし
結局時代の変化とともに
葬り去られてしまったというところ

しかし
時代を捉えることは並大抵のことではない
だからそれは輝きを失わず
日の目を見るチャンスをうかがっているのである
そして時代の時々に再評価され続けていく

そんなことを考えさせられる絵である