2010年7月19日月曜日

新バンドとしてのYesの魅力

現在のYesは実に精力的にライヴ活動を行なっている
 2008年に結成40周年を迎えるにあたって
いわゆる黄金期のメンバーでのツアーが期待された
しかしキーボードのリック・ウェイクマンと
リードボーカルのジョン・アンダーソンが病気のために参加できず
リックの長男であるオリバー・ウェイクマンと
カナダ人のベノワ・デイヴィッドを代役として参加し
以来この5人による布陣でツアーをこなしているのだ


そしてこの代役メンバーによるYesが良いのである
まずベノワ・デイヴィッドが素晴らしい
声質や声量そして声域さらに歌い方までもが
まさにジョン・アンダーソンその人であるかのようなのだ
これはYesサウンド的にはとても大事なことであり
かつとても難しいことである

“代役”という立場だからオリジナリティーは出せないのだろうが
ここまで違和感無く歌いこなす力量は凄い
まさに逸材だと思う

さらにその地味なたたずまいも良い
ちょうどピーター・ガブリエルからフィル・コリンズにチェンジした
ジェネシスに似ているかもしれない
リードボーカリストのカリスマ性が消えた分
バンドとして新しい一体感というか
ロックスピリットが甦った感じなのである

バンドは「Fragile(こわれもの)」の名曲「南の空」や
トレヴァー・ホーンがボーカルを取っていた
アルバム「Drama」からの曲なども取り上げている
要するにロック的なドライヴ感のある曲を
積極的に演奏しているようなのだ

そこには
“黄金期”のメンバーでかつての名曲群を
懐メロのように演奏していた時の老成感はない
現在の“ベノワYes”は
今のバンドのポテンシャル内で
精一杯ロックしているのがわかる
それは華美な装飾を取り払ったステージングからも見て取れる

代役以外のメンバーも
何か活き活きしているのだ
きっと演奏していてもとても新鮮なんじゃないかと思う

2010年も精力的にツアーをこなしている期間限定Yes
無理を承知で
ぜひ今のツアーメンバーでYesの新作を出して欲しいと思う
Yesならそんなこともあり得そうだし