2011年6月15日水曜日

「はみだし」と「ビニ本」

CGに興味を持っていただいたのをきっかけに
少しメールのやり取りをさせていただいている方の話題に
「はみだし」と「ビニ本」が出てきて笑った
  
地方の音大を卒業後
東京近くにちょっとだけ住まわれた際
音大に通われていた時の先生から
“都会”でしか手に入らないものを買って送るよう
「いわゆる“パシリ”をさせられてました(泣)」というお話

「ある日『はみだし天国』という本を買って送れ!!という指令がくだり、買った私はその本を黒いビニールでラッピングして、白いペンで思いっきり『ビニ本』と書いて送ってやりました(爆)」

本当に楽しい方(女性)である
もうこの部分を読んで一人大爆笑

ちなみに「はみだし」とは正式名を「はみだしYOUとPIA」と言い
雑誌「ぴあ」でページの欄外を使った
読者からの面白投稿コーナーのこと
  
当時は「ぴあ」という
多方面に渡る情報を網羅した雑誌自体が
目新しく貴重だったこともあったが
雑誌のオマケ記事のようなこの「はみだし」読みたさに
「ぴあ」を買った記憶もあるくらい
かなり楽しんだし話題にもなったものだった
  
「はみ出し天国」とは1986年に発行された
言わば“はみだし傑作選”である
当然「音楽」とも「音大」ともまったく関係ない

で「ビニ本」である
ビニールでくるんで店頭で見られなくした
いわゆるポルノ写真本のことだ
まだインターネットどころか
パソコン自体が特別なモノであった1980年代
この薄消し故に一般流通にのせられない「ビニ本」なるものが
かなり出回った時期があったのだ

当時神田の古本屋街をブラブラ歩くことが良くあって
新しい古本屋が出来たみたいだからのぞいてみようと
中に入ったらデカいビニ本屋だったことがある

それはそれは凄かった
床から天上までビッシリと
ビニールに入ったB5サイズほどの薄いモノが
店の入口から奥まで本棚を満たしているのである
今のマンガ専門店みたいな感じに近いかもしれない

わたしは輸入盤レコード屋へも良く行っていたので
一瞬LPレコードが並んでいるのかと思ったのだが
そこにかもし出されている雰囲気は
もっとアンダーグラウンドな感じで
「来ては行けないところに来てしまった」的な
焦りと背徳感と興味と興奮がないまぜになって
その光景に圧倒され立ちすくんでいたことを思い出す
いやぁ懐かしい…と言えば懐かしい
若かりし頃の思い出

「はみだし」も「ビニ本」もすっかり忘れていたけれど
自分にとってはあの頃あの時代を象徴する言葉であった

久しぶりに神田古本屋街を歩きたくなった
もちろん「ビニ本」屋なんて
もうどこにもないだろうけれど…
  
いや…そういう目的ではなく
あの頃を思い出しながらブラブラと