彼女の寝言は、起きているみたいに自然だ。
「う~ん、なんて言ったっけ、あの人~」
なんだ、なんだ?
あ、寝言か。
あの人って誰だ?
朝一番に彼女に言う。
「桜塚やっくん、だよね?」
「ん? あっ、そうそう、よく思い出したね~」
数日前に
「最近見かけないねぇ。あの、男なのにスケバンの格好してた人」
「あ~、スケバン恐子ね。あの人なんて言うんだっけ?」
「あ~、思い出せない~」
「なんだっけねぇ~」
という会話をしていたのだ。
「夕べ寝言で質問されて、思い出した。」
と言ったら、
突っ伏してウケていた。
幸せな時間。