あとがきを書くために、パトラッシュの犬種や、
大聖堂内の絵画の配置を調べたりしているうちに、
ああ、これはやっぱり
アニメ版の最終回を見ておかねば、と思うようになった。
実は、結末が悲劇だと知っていたわたしは、
当時「フランダースの犬」をTVで見ていなかったのだ。
見てみて思ったのは、
昨今の、美しい色彩、描きこまれた背景、
なめらかな動き、大胆なアクションなどには
比べるべくもない地味な画作りでありながら、
実に感動的な作品になっているということだった。
とにかく間(ま)のとり方が絶妙なのだ。
じっくり取った間が、
見ているこちらの思いを、どんどん募らせてゆくのである。
昨日「メアリと魔女の花」を見てきたのだが、
なおさらそんな違いを見せつけられた気がするなぁ。
「メアリと魔女の花」も、それほど悪くはなかったのだが、
この最終回の凄さには太刀打ちできない。
泣きながら村の鐘を鳴らして、
ネロがいなくなったことを村人たちに知らせる子どもたち。
原作にはないこの演出がまた泣ける。
そして、最後のアロアの絶叫。
横たわる二人だけをとらえた無音の20秒。
横たわる二人だけをとらえた無音の20秒。
パトラッシュが引く台車にネロが乗って、
二人がうれしそうに空に消えてゆくラスト。
どれもアニメならではの見事な演出である。
こういう切々とした感情が、
「メアリと魔女の花」には感じられなかったなぁ。