「ペコロスの母の忘れもの」岡野雄一
ペコロスのシリーズ第四弾となる
「ペコロスの母の忘れ物」を読んだ。
ほのぼのしたキャラクターと、
穏やかな語り口に反して、
現実と妄想、過去と現在、生と死が、
コマごとに見事に交差する強烈な世界。
また泣いてしまったなぁ。
ドラマチックに盛り上がるシーンなどないのだが、
何気ないコマやセリフで不意に涙腺が緩む。
何と言うか、実に奥の深いマンガである。
重くなりがちな話を、
ギリギリそうさせない距離感が素晴らしい。
小さなギャグも良い味を出しているしね。
でも、もちろん単なる〝良い話〟〝美しい話〟ではない。
今の穏やかさの裏に、さまざまな壮絶さが隠れている。
背中を丸めてうつむいているお母ちゃんを、
立っている視点から見下ろしている絵が何度か登場するが
これが実に良いのだなぁ。