2009年1月29日木曜日

「ベクシンスキー」復刊

以前取り上げたポーランドの画家Beksinsikiの日本で唯一の翻訳作品集「ベクシンスキー」(発行:エディシオン・トレヴィル、発売:河出書房新社、2005年)が復刊された。「復刊ドットコム」でそのことを知り、さっとく注文し、手に入れることが出来た。やった!うれしい!
  
  
すでに手元にある「The Fantastic Art Of Beksinski」も、掲載作品自体が大きく、Beksinski本人のコメントが散りばめられていて、中々魅力的な作りであったが、この「ベクシンスキー」も余白の白とのバランスが絶妙で、文字も最小限にとどめているため、意識を作品に集中できるすばらしいレイアウトになっている。
   
また、「The Fantastic Art Of Beksinski」とはダブらない作品も多く収録されているため、この2冊でBeksinskiのある程度の作品群が堪能できることになる。まだ収録されていない絵画作品も多いし、写真やデジタル合成作品も制作していたので、全体像を知るのはまだこれからということになるけれど。
解説の「ベクシンスキーの自己精神療法」で、美術評論家タデウス・ニクツェックがいみじくも「ベクシンスキーの絵を見て誰でもまず思うことは、これは神経症患者が描いた絵だということである。」と書いている。しかし彼はこうも言う。「彼は絵を描くから生きているのであり、生きているから絵を描くのである。」

芸術とは何かという自己への問いかけの末に到達した作品ではなく、彼が描かずには生きられなかった世界がそこに広がっている。その世界はグロテスクでありながら甘美であり、わたしの今まで触れられなかった部分に触れ、満たされなかった空間を満たしてくれるような気がするのだ。

なかなか「いいね」って言ってくれる人は周りにいないんですけどね。