「悲劇排除システム」業田良家
もともと隠れた名作としてカルトな人気があった「自虐の詩」のブレイクで有名になった業田良家。「自虐の詩」のラストの息もつかせぬ感動へのばく進は凄まじかった。しかし「ゴーダ哲学堂 悲劇排除システム」(小学館、2002年)は感動というには気恥ずかしい微妙な心の揺れなんだけど、今までにない感覚や視点に、静かに深く触れることができる短編集だ。
「肌と肌…
触れ合うことを
忘れなければ…
ボクたちは
なんとか生きていける。
ボクたちはほ乳類だ。」
(「ほ乳類の一日」より)
久しぶりに今、この本のことを思い出して読むことにも、きっと意味があったのだろう。ベクシンスキー、業田良家、無意識にも心の中で模索が続いているのだろうな、きっと。
「ゴーダ哲学堂 空気人形」(小学館、2000年)の表題作『空気人形』も、ちょっとエロチックでとてもせつない、大好きな大好きな大好きなお話です。