2009年1月7日水曜日

「心の休ませ方」加藤諦三

「いつもニコニコしていて、
  イヤなことがあっても怒らずに対処してるからスゴいね」

とか

「生徒のこと、絶対悪く言わないよね」

とかよく言われてきた。
でもそれは怒れなかったんだ。
怒ることで人間関係が崩れるのを、
たぶん極端に恐れていたんだと思う。

ひたすら自分が譲歩することで対処してきた。
その中で自分の力を発揮できる場所を見つけてきた。
しかし怒りは抑え込まれ、
憎しみとなって沈殿していたんだね、きっと。

「心の休ませ方 『つらい時』をやり過ごす心理学」
(加藤諦三 著、PHP文庫、2006年)は、
読む人を選ぶ本である。
うつの原因を、生育歴における愛情飢餓感に限定し過ぎている。
うつ状態に陥る心理、あるいはうつ状態の思考傾向については、
くどいほど書かれているが、
多様化しているうつ的症状を考えると偏りがある。
そして、
ではどうしたらよいかという具体的で力強いアドバイスはない。

しかし、この本は、抑え込まれた怒りや憎しみが存在すること、
それを解放することが大切なことを、
初めてわたしに示唆してくれた。
薄々気づいてはいたことではある。
でも面と向かって言われたのだ。

「生きることに疲れたあなたは、
 あなたの心の底にたまった『無念の気持ち』の
 すごさに気がついていない。
 心の底にたまった『悔しさ』の
 量に気がついていない。
 生きることに疲れたあなたは、
 憎しみや敵意があることを自覚することである。」
                (同書本文より)

著者の言葉はキツい。しかしストレートだ。
誰にでも薦めたいとは言わない。
しかし自分にとって
今必要なことが書かれていた本であった。