イヤなことがあっても怒らずに対処してるからスゴいね」
とか
「生徒のこと、絶対悪く言わないよね」
とかよく言われてきた。
でもそれは怒れなかったんだ。
怒ることで人間関係が崩れるのを、
たぶん極端に恐れていたんだと思う。
ひたすら自分が譲歩することで対処してきた。
その中で自分の力を発揮できる場所を見つけてきた。
しかし怒りは抑え込まれ、
憎しみとなって沈殿していたんだね、きっと。
「心の休ませ方 『つらい時』をやり過ごす心理学」
(加藤諦三 著、PHP文庫、2006年)は、
読む人を選ぶ本である。
うつの原因を、生育歴における愛情飢餓感に限定し過ぎている。
うつ状態に陥る心理、あるいはうつ状態の思考傾向については、
くどいほど書かれているが、
多様化しているうつ的症状を考えると偏りがある。
そして、
ではどうしたらよいかという具体的で力強いアドバイスはない。
しかし、この本は、抑え込まれた怒りや憎しみが存在すること、
それを解放することが大切なことを、
初めてわたしに示唆してくれた。
薄々気づいてはいたことではある。
でも面と向かって言われたのだ。
「生きることに疲れたあなたは、
あなたの心の底にたまった『無念の気持ち』の
すごさに気がついていない。
心の底にたまった『悔しさ』の
量に気がついていない。
生きることに疲れたあなたは、
憎しみや敵意があることを自覚することである。」
(同書本文より)
著者の言葉はキツい。しかしストレートだ。
誰にでも薦めたいとは言わない。
しかし自分にとって
今必要なことが書かれていた本であった。