小学生の頃からムーミンのお話が大好きである。
テレビアニメも見ていたんだけど、原作があることを“発見”し、読んだらその面白さにはまった。ファンタジーなんだけどファンタジックな感じのしないキャラクターの性格や会話の深さ、話の展開の意外さ、そして作者トーベ・ヤンソン自ら描く挿絵の魅力に取り憑かれて、ムーミン谷とフィンランドの生活を想像しながら、むさぼるように読んだ。
小学校5年の時に、読書感想文でムーミンを題材にして、ちょっと背伸びして日本文学とか読み始めてた友だちからバカにされた。でも「わかってないな〜」って逆に優越感を覚えたくらいだ。
読み始めた当時は「ムーミンパパ海へ行く」がシリーズ最終巻だった。ところがしばらくして、たまたま店頭で「ムーミン谷の11月」を見つけたときは自分の目を疑ったほどびっくりした。新刊として後からシリーズに加わったのだった。ムーミンと同時代に生きているような気がした。「ムーミン谷の11月」はムーミン一家が出てこない、しみじみとした大人の物語で、それを味わえるようになった自分もうれしかった。
ムーミンワールドにはいろいろなキャラクターが登場するけれど、忘れられないキャラクターの一人が「ムーミン谷の仲間たち」に登場するニンニ。毎日毎日おばさんに皮肉を言われ続けて、とうとう姿が見えなくなった女の子。ミイという、からだは小さいけど勝ち気で行動的な女の子が彼女に言う。
「この人はおこることもできないんだわ。……それがあんたのわるいとこよ。たたかうってことをおぼえないうちは、あんたには自分の顔はもてません。」
ニンニは言う。
「はい、そのとおりですわ。」
「はい、そのとおりですわ。」
そしてムーミンママの力添えもあって怒れるようになった時、ニンニは姿を取り戻す。
う〜ん、深い。