2013年4月28日日曜日

勝新太郎の「座頭市」が凄い!

暗い話である
生きようとすればするほど人を切り裏街道に落ちて行く市
罵倒され蔑まれる悲しさや悔しさと
最後に爆発する超人的な剣さばきの爽快感
でも最後まで抑圧された暗さは消えない

勝新座頭市の殺陣の凄さは唯一無二だ
血まみれでもがき苦しむようなリアルな切り合いではない
逆に段取りが見え見えなチャンチャンバラバラでもない
確かに決まり事に則った型ではあるのだけど
きちんと切れる間合いで無駄なく剣を操る
そのスピードと身のこなしに殺気がある

仮に映画のように一撃で死ぬことはないにしても
この動きだったら必ず切られるだろうな…という
圧倒的なリアリティと存在感とカッコ良さがあるのだ

例えば『座頭市喧嘩旅』(1961)
勧善懲悪ではなく
とにかく目の前の人を助け
今を生きることだけしかない市を描く傑作


  
冒頭の40秒
賭場の場面の薄暗い深みのある画面
市の穏やかで凄みのあるセリフ回し
そして鮮やかなロウソク切り
このタメと残心
鞘から剣を抜き鞘へ戻るまでの
太刀が見えないほどの素早さと太刀捌きの美しさ
そして真っ二つに割れるロウソクという
ケレン味たっぷりな見事な演出
最後に発せられる自嘲気味な決め台詞

これにグッときたら全編見て欲しい
ラストの大殺陣ももの凄い緊張感である