「ハレンチ学園」は永井豪が1968年から1972年まで「少年ジャンプ」に連載されていたギャグ漫画だ。エッチな場面を盛り込んでいたため、それまでマンガの中にそうしたタイプのものがなかったこともあって、超人気作品となった。
もちろん今から見れば健康的なエッチ場面であり、個性的なキャラクターやストーリー的な面白さも十分持っていたのだが、当時このマンガの影響で小学校でスカートめくりとかが流行ったりしたこともあり、当時はその性的表現が過激過ぎるとして、かなり批判された。
もちろん今から見れば健康的なエッチ場面であり、個性的なキャラクターやストーリー的な面白さも十分持っていたのだが、当時このマンガの影響で小学校でスカートめくりとかが流行ったりしたこともあり、当時はその性的表現が過激過ぎるとして、かなり批判された。
まぁ最近復権著しいドリフターズの「8時だョ!全員集合」みたいな感じかとか思って、大人のことなど関係ないやと読んでいたら、関係ないどころではなかったのだ。
1970年頃はまだマンガ読んでると勉強しなくなるというような偏見が強かった。そこに、さらに批判のマトになり易い性的表現が含まれていた「ハレンチ学園」は、PTAなどから強烈な批判を浴びた。その強烈さは相当なものだったらしく、ついに永井豪は「ハレンチ学園」を終わらせることにしたのだ。ただしギャグマンガ、というより少年マンガ誌史上かつてなかった壮絶な戦争描写で。
“第日本教育センター”なるPTAと文部省が合体したような組織が、ハレンチ学園を力でつぶそうとしてくる。そして「ハレンチ大戦争」というリアルな戦争が始まるのだ。連載は1970年半ばのことである。これは当時小学生であったわたしを含む読者みんなにとって、相当にショッキングなことだったと思う。
だってギャグマンガだったのが、キャラクターはそのままに戦争に突入、時にギャグを交えながらも、殺しあいの場面が延々描かれるのだ。ハレンチ学園の個性豊かな先生たちも、一人また一人と殺されていく。生徒もまさに戦争に巻き込まれたかのごとく、簡単に死んでいく。
戦争のリアリティを、予期せず、というかむしろ気を許していたエッチギャグマンガで見せられてしまったのだ。まだまだイメージできていなかった「戦争とは殺しあいなんだ」という事実。人が殺されるっていうのはこういうことなんだっていう視覚イメージ。不条理な死。自分の反戦の気持ちの基礎は、ここで培われたと言っても言い過ぎじゃないんじゃないかな。
「ハレンチ学園」自体はすでにここで完結している。ただ編集部の強い意向から、その後を描く第二部、第三部が存在するというが、わたしはそれは読んでいない。わたしの中では、あの壮絶な殺し合いで学園が滅んだところで「ハレンチ学園」は終わっている。
なんてことをふと思い出したら、復刊されていた。「キングシリーズ小池書院デラックス」として六巻まで出ているが、問題の「ハレンチ大戦争」は第一部扱いになった最初の連載分の最後として、第三巻に入っているらしい。
どうしよう。買っちゃおうかな。