2014年3月10日月曜日

川瀬巴水

川瀬巴水(かわせはすい)という版画家の作品展が
千葉美術館で一月末までやっていて気づかず

「おっ、高島屋で今日までやってる!」

と知って強風の花粉攻撃に耐えつつ出かけようかと思ったら
高島屋は高島屋でも「大阪高島屋」であった…ぎゃふん
  



巴水の絵を見ているともちろん
かつてあった“美しく懐かしい日本”を思い起こさせてくれるのであるが
不思議なことにその絵を見ていると
“美しく懐かしい日本を描いた日本のアニメーション”をも
思い出させてくれるのである

例えばジブリ作品の田舎の風景とか深海誠作品の空とかだ

もちろん巴水は大正から昭和にかけて生きた人だから
時代的には逆であって巴水の作品が先にあったわけだ
日本のアニメーションが意識的に影響されたかどうかはともかく
実に良く似ているのである

多分版画という技法がそうさせたのかしれない
現在は主版(輪郭線)を彫らない技法もあるようだけど
一般的に版画と言うと浮かぶのは黒い輪郭線だ
この輪郭線を描いた上で色彩を付けていくというのが
実にアニメーションに似ているんだろうと思う

また版木を彫る上でひたすら細密に彫り進めるだけでなく
大胆に省略しながらいかにどうやって質感や重量感を出すかも
表現上の大きなポイントになるだろうと思うが
それもまた登場するキャラクターとのバランスで
ただリアルに描き込めば良いわけではないアニメーションの背景画と
似ているんだと思う

個人的にはCGにも似ている気がしたのだ
版画の場合だと基本的な構図や輪郭はそのままで
重ねる版木やのせる色を変えることで
“別バージョン”のようなものが生まれるのだが
それはCGで空気感や天気や太陽の位置などを変えて
同じ構図で別の世界を作る作業に似ているのである

次に機会があったらぜひ生で見てみたいなぁ