その待ち合わせ場所にちょっと早く着いたので
時間つぶしに立ち寄った本屋さんで
何げなく手に取ったのが
この本「ペコロスの母に会いに行く」(岡野雄一) だった。
「売れてます!」とも「大ヒット!」とも
「書店員のオススメ!」とも書かれていなかったけど
その何の説明も推薦もないまま
たくさんのハードカバーに混ざって
平積み台にマンガが一冊置かれていることにたくさんのハードカバーに混ざって
逆にとても興味をひかれたのだ。
ページをちょっとめくっただけで
あぁこれはマズいと思った。
施設に入所している認知症の母親の話である
その母親の絵が良い。
年老いてちっちゃくなったお婆ちゃん、
その“無垢”な感じが絵から伝わってきて
それだけで涙が出そうになる。
さらに少しページをめくってみる。
他愛ないことのようで
実はしみじみと胸を打つ身近な話が
たくさん綴られている。
涙が滲み出てくる。
マズい……。
本屋の店頭で良い歳のオジサンが
声を出して泣くわけにはいかない……。
声を出して泣くわけにはいかない……。
本を閉じレジに持っていく。
家に帰ってから覚悟して読んだ。
面白くて吹き出すところもあれば
堪え切れずに声を出して泣いたところもあった。
特にラストから2番めの話と絵は強烈だった。
老いることも悪くない……。
ボケることも悪くない……。
ワタシが“ボケ”たら
どんな思い出の世界に遊び、
どんな思い出の世界に遊び、
誰が会いにきてくれるだろうかと、
思いを巡らせてみたりもして……。
衝撃の一冊だった。
衝撃の一冊だった。