食指が動かないから聴いていないわけで、
実際はワタシの思い込みでしかないのかもしれないが、
最近のプログレは、どうも魅力を感じないのである。
ズバリその理由は、
音楽を作る上での〝葛藤〟がないからじゃないのかな。
一つには、いろいろな機材が発達したこともあり、
一人でかなりの楽器をダビングしても、
バンドと見紛うようなクオリティーの作品が
作れるようになってしまったこと。
だから、最近は何とかプロジェクトとか
何とかユニットみたいなものが多い。
つまり、
バンド内でのアイデアやエゴのぶつかり合いがないまま、
ひたすら自分の気持ち良い音楽だけを
バンド風に作って終わってしまえるのだ。
だから、どれも「ハケット風ギター」とか
「トニーバンクス風キーボード」とか
「フリップナイズ(?)されたギター」 とか言った、
思い入れの寄せ集めみたいになる。
美しいけれど、何だかなぁ、なのだ。
ロジャー・ウォーターズとデイヴ・ギルモアとか
ジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアとか
キース・エマーソンとグレッグ・レイクとか
ロバート・フリップとビル・フルフォードとか
ピーター・バーデンスとアンディ・ラティマーとか
もちろんポールとジョンとかのように
異質な才能がぶつかりあったから、
多彩で深みのあるバンドの音が生まれたのだ。
もう一つには、
オーケストラが欲しくなったら生オケを入れるとか、
バイオリンやサックスを入れたいとなったら、
ゲストプレーヤーを鬼のように入れるとか、
何だかひどく安易にお金をかけて解決するようになった。
それも、バンドの個性がはっきりしないうちにだ。
かつては、お金や機材や人材の関係で
どうしても手に入らないモノを補うために
必死になって工夫した末に生み出された
斬新さや緊張感があった。
Yesは5人だけで
あの「海洋地形学の物語」を作ったじゃないか。
Angeはオルガンで
あのメロトロンにもどきな妖しい音を作ったじゃないか。
EL&Pはゲストプレーヤーを入れず、
Keithは腕が壊れるまで弾きまくったじゃないか。
Enidは二人羽織のように折り重なりながら、
見事なキーボードオーケストレーションを
ステージでも再現させたじゃないか。
全体的に
既存の音とは違ったものを生み出すぞ、
というような、
気概というか、心意気というか、こだわりというか、
そのための音楽的な葛藤とか戦いが感じられないのである。
新しいプログレバンドが次から次へと出てきているが、
結局Anglagard以降で
食指が動くバンドがないんだよなぁ。