2019年2月2日土曜日

太宰治を味わう

昔読んだような気がするのだが
だとしても、ずっと忘れていたし、
昔々の田舎のことだから、
「哲学」を勉強したり
「太宰治」を読んだりすると、
人間とか人生とかが嫌になって
自殺しちゃうんじゃないかみたいな
変な思い込みの中で育ったから、
太宰治だけは避けて
読んでいなかったかもしれない。
  
でも、たまたまKindleで
「人間失格」と「斜陽」を読んだら
ハマってしまったのだ。
この退廃的な雰囲気と、
どうにもやりきれない苛立ちや悲しみは
いろいろ経験してこの年になった今だからこそ
しみじみと分かるように思う。
  
時代に翻弄され、身を持ち崩した貴族という
特権階級特有の悲劇を描いているようで
実は、誰の心にもあるはずの
清く正しく美しく生きられない辛さ、
あるいは、
生きていること自体のやりきれなさが
実に巧みな文章で描かれているのだな。
  
特に「斜陽」の姉の手紙が素晴らしい。
切なく、哀れな、それでいて気丈な話し言葉。

若い時に読んだら、
太宰に〝あこがれ〟、
太宰を〝気取った〟かもしれないが、
今は、太宰に〝癒やされ〟〝許される〟気がするな。