2010年6月4日金曜日

エニドの初期2作品が初CD化!

    
イギリスのシンフォニックバンドThe Enid(エニド)の初期2作品「In the Region of Summer Stars(1976)」(右写真上)と「Aerie Faerie Nonsense(1977)」(右写真下)のオリジナル・ヴァーションがCD化された。

1980年代の再録盤は何回かCD化されているが、このオリジナル盤はEMIがマスターテープを消失したとか、バンドとの契約上のトラブルから封印したとか言われながら、今まで一度もCD化されたことはなかったものだ。
2006年にThe Enidの諸作品が日本で紙ジャケットにより再発された。その際に、ディスク・ユニオンで全タイトル購入特典として、サンプラー扱いでオリジナルの1st&2ndの盤起こしCDが付いていたことはある。しかし市販品としてはCD化されるのは初めてのことである。

今回発売したのは、The Enidのアルバム販売を一手に引き受けていたInner Sanctum。サイトには“Original Recording & Digitally Re-mastered”と書かれているが、入手したGarden Shedの解説によると、これもやはりできるだけノイズを取り除いたレコード盤起こしらしい。どちらも1000枚限定品とのこと。
でも盤起こしでも構わない、うれしい!とばかりに早速購入してしまった。
  
そうしたらどうも今契約の関係でThe EnidとInner Sanctumは揉めているらしいのだ。The EnidのRobert John Godfreyは契約は打ち切ったと言い、Inner Sauctumとしては、販売権はまだあると主張していて、どうもそのドタバタの中で幻の初期2枚をレコード盤起こしによって強行販売した雰囲気なのである。The Enidサイトでは一時期全アルバム音源の無料ダウンロードとかもしていたらしいから、双方が対決姿勢にあるみたいな感じ。ちょっとした嫌がらせ合戦ぽいかも。

そこでThe Enidのサイトを見てみたら、「Genuine Recordings to be released through EMI - Coming Soon!(正規版がEMIよりリリース予定 - 発売間近!」とあって、Robert John Godfreyのソロと、この初期2作の写真が載っているではないか…。

EMIとの和解が成立したかマスターテープが見つかったかして、ついに盤起こしではない正規CDが出るのか?じゃあ今回購入したレコード盤起こしはムダになってしまうのか?

とか一瞬思っては見たものの、それはそれである。まずはこのInner Sanctum盤CDをじっくり聴き込もうと思うのだ。EMIの“正規盤”と言っても、それはあくまでRobert John Godfrey側から見た法的な意味合いだけで、実際出たとしてもレコード盤起こしである可能性も高いし。

当事者のゴタゴタは困る。それによって名作が世に出されないという状況はなんとも残念だ。しかしゴタゴタの中から出てきたものであっても、このオリジナル・ヴァージョンのCD化はファンとして嬉しいのだ。

それほどこのオリジナル・ヴァージョン2作品は、わたしにとって掛け替えのない名盤なのである。