どこか田舎のデパート。
上の方の階にいて、
下に降りるエレベーターを待っている。
さらに上の階から降りてきたエレベーターが
まだ扉が開く前から騒がしい。
女の人たちがガヤガヤと
大声でしゃべっているようだ。
人がたくさん乗っているところに
詰めてもらいながら入るのも嫌だし、
ベチャクチャうるさいのも御免だと思って、
扉が開く前に、すぐわきの階段に向かう。
一階下に降りると、
そのエレベーターが
ガヤガヤとうるさいまま降りてくる。
また一階下まで階段で降りると、
またそのエレベーターが降りてくる。
まるであとを追いかけられているようだ。
結局建物の一階まで階段で降りて、外に出る。
そこには田園が広がり
その向こうには山並みが見える。
山まではそれほど遠くない。
実家のある田舎の風景に、どこか似ている。
田んぼの間を抜けるように作られた
舗装道路の端を歩く。
あたりはもう夕暮れ時だ。
「ああ、職場に戻らなきゃいけないんだけどな。
もう出張から戻っておかしくない時間だものな。
でも戻れない……連絡もできない……」
そんな気持ちで、トボトボと当てどもなく歩いている。
「あの時も、3週間がんばって仕事にいけなくなったけど、
今度も、ちょうど3週間経ったところか……」
あの時とは、紛れもなく2008年のことだ。
〝今〟がいつかは分からないが、
とにかく一度職場復帰したのだろう。
そこから3週間目にして、また限界が来たのだ。
一番苦しかったあの時を、くり返しているのだ。
「ああ、どうして仕事を辞められないんだろう……」
夢の中では、まだ仕事を続けようと思っていて、
その葛藤から出た言葉のように聞こえるが、
仕事をやめたのに、こうして気持ちの上では
まだ仕事にからんだ苦しい夢などを見ている自分を
嘆いているようにも聞こえる。
そんな夢。
昔のことを思い出すような
何かがあったわけでもないのになぁ。