2009年8月19日水曜日

横浜廃墟の旅 09夏<ドルフィン&廃墟編>

 
元町の駅を出て「港の見える丘公園」へと山の中の階段を上った二人は早くも息切れ。わたしなんて1年前までは4階建ての校舎を、日に何往復も上ったり下りたりと走り回っていたのだから、相当体力落ちてることにショック。

でも大好きな横浜の散策路を彼女と歩けるのがうれしくて、最初からハイテンション。シルバーマリンタワーにはショックだったけど、山道
から「港の見える丘公園」を見上げたのは始めてだったので、きれいなシルエットに、またまたテンションアップ。良い天気。陽射しは強いが風が心地よい。つないだ手がうれしい。
そこから外人墓地を眺めながら、ハイカラ洋館と高級住宅が建ち並ぶ山の手の道を、炎天下の陽射しを避けながらテクテク歩く。景色を楽しみながら、目指すは廃墟。

やがて山の手から
坂を下り、街並は昭和風情の地元商店街へと変わる。時間の流れが止まったような感じ。ひなびた商店街だけれどそれなりに活気があるのがいい。

この商店街で通りがかった自転車に乗ったおっちゃんに「この郵便局ってさ、前はあっちにあったやつ?」って突然聞かれたのだ。知らないって。わたしは「道聞かれマン」か。あたしゃアンタ以上にここではストレンジャーなんだよ。

さて、道は再び上り坂になり、目指していた「根岸公園」に到着。この段階で二人してすでにかなりの距離を歩いている。それもサンダルで。ちょっとバテ気味。遠くに廃墟の頭が見える。あの廃墟は木々の上に首だけ出している姿が不気味だ。日常の中の非日常だからだな。
その廃墟に行く前に腹ごしらえをしようということになり、懐かしのユーミンの荒井由美時代の名曲「海を見ていた午後」に出てくる「山手のドルフィンは〜静かなレストラン〜♪」のドルフィンで食事。オムレツ最高でした。
この日もライター&カメラマンという女性2人組が取材に来ていて、「ソーダ水の中を〜貨物船がとおる〜♪」のソーダ水を頼んで写真を撮ったりしていた。

ホントに坂の途中の何もないところにあるレストランだし、背の高い建物が増えて、だぶん以前ほど海も見えなくなっているんだろうけど、未だに人気のスポットなんだなぁと実感。
食事も楽しめて、お腹もいっぱいになり、いよいよ廃墟へ向う。廃墟に行くにはこの広い広い根岸公園を反対側まで突っ切らなければならない。サンダルで。でも真ん中あたりまで来ると、そこは周囲を広大な緑に包まれた別世界のような空間。もう少し涼しくなったらゴロンと転がって時を過ごしたい場所だな。
そしてついに廃墟が視界に入る。驚いたことに廃墟は、夏の陽射しを受けたツタの緑に包まれて、今だけ息を吹き返したように活き活きとした姿でわたしたちを迎えてくれた。

廃墟というよりも歴史的巨大モニュメントって感じ。そこに異界への口は開いていなかった。

またまた新しい顔を見せてくれた廃墟、魅力倍増である。これから秋になり冬になり、ツタの生気が消えていくに従って廃墟は廃墟としての妖しい魅力をまた見せてくれるだろう。
二人して「すごいねぇ〜」と言いながら周囲をぐるっと回ってたら、近くにあったちょっとした公園が目に入った。遊具が並んでいる。誰もいない。「大人になったらなかなか滑り台とか滑れないから行ってみようよ」と彼女が言うので、一緒に行ってみる。

すでにわたしも興奮状態。紐にぶらさがって結び目におしりのせてシャ〜って滑る遊具に飛びつく。気持ちいい〜。後からにゃ〜こも滑る。続いて子供用の段差がある滑り台をがくんがくんと滑って大笑い。

さらにコロコロ回る金属棒が並んだ長〜い滑り台に挑戦。白のスラックスのにゃ〜こから「ズボン汚れるかもだから先にすべってみて」と言われてGパンのわたしは喜んで滑ると、ガタガタする振動でなぜか笑っちゃう。笑っちゃう自分がまた可笑しい。下に着いて「ズボン大丈夫だよ〜」と言おうと振り向くと、もうにゃ〜こがウヒウヒ笑いながら滑り降りてきてた。またまた二人で大笑い。

廃墟に見守られて幸せになれた一日だった。