足の悪い母をタクシーに乗せ、
小一時間かけておばの入院する病院へ行ってきた。
母は長女、おばは一番下の四女である。
台所で倒れていることろを認知症の旦那さんに発見され、
救急車で入院、手術をしたのだが、
以来ずっと昏睡状態が続いているのだ。
その旦那さんも、転んで脳挫傷となり、
別の病院に入院中である。
二人の面倒は息子兄弟の兄が看ている。
弟は数年前に倒れ、両親に自宅介護されながら
昨年亡くなったばかりだ。
病院の中では母を車イスに乗せ、
ワタシが押して歩いた。
母としても掛ける言葉が見つからない。
ただ、「いろいろ苦労したねぇ」「苦しくないかい?」と
くり返すばかりだった。
鼻とのどからチューブが伸びているの痛々しいが、
顔色は悪くない。苦しそうな様子もない。
ただ昏昏と眠り続けている。
ワタシは、小さい頃に一二度会ったかどうかぐらいで、
写真では知っているが、話をしたような記憶はない。
だから、母もいるその場ではなおさらのこと、
おばに対しても、母に対しても、
掛ける言葉は一つも浮かんでこないのだった。
家に帰る途中から、強烈な鼻炎症状が出た。
花粉症は終わったはずだったのになぁ。
体がショックを受けてバランスが崩れたのか、
はたまた風邪を拾ってきてしまったのか……。
慌てて「ストナリニ」を飲んだが、効きが悪い……。
ふと、自分があの立場になったら、
な〜こだけ、そばにいてほしいなぁ、
そして、体をさすってほしいなぁと思った。
いや、ワタシはな〜こより
1日でも長生きすることになっているから、
ワタシが最後の最後までそばにいて
体をさすってやりたいなぁ。
母を連れての病院はけっこうハードだったけど、
それ以上に、いろいろハードな体験をした一日であった。