2009年4月1日水曜日

「それって、立派な『うつ』ですよ」安倍裕貴

旧年度の終了も手伝ってか、自己嫌悪も減り、精神的な落ち込みや不安定さも特になし。自分は「うつ」ではないんではないかと思って「抗うつ剤」服用を止めて3週間。それも最近の安定した状態へ影響してはいないようだ。ありがたい。

しかし崖っぷちまで行ったことは確かだと思う。それもきっと何年もかけて、崖っぷちまでジリジリと追い詰められていったんだろう。疲労の抜けない不調な状態が続いていたことは確かだし、最後の混乱状態は尋常ではなかったし。

今の課題は睡眠障害。そこからくる疲労感。そして首、方、腰の痛み。そして“ストレス性二日酔い”と名付けた、頭痛と吐き気。さすがに夜も眠れないとか一日中ベッドの中で苦しむというような、ひどい“ストレス性二日酔い”は最近はなくなったが、軽度なものはまだ残っている。

これは自律神経のバランスが狂い、必要以上に筋肉が緊張して起こる、「うつ」からくる症状にとてもよく似ている。だから「うつ」ではないにしろ、まだまだ崖っぷちからそう離れているとは言えない。
    
「それって、立派な『うつ』ですよ―自分を責める人たちの処方箋」(安倍裕貴、実業之日本社、2008年)は、働き盛りの10年間をうつと闘い、フリーライターとして仕事をしている現在も、抗うつ剤は手放せないという著者による本である。

「私の場合はとにかく身体中が痛くなって座ることもできなくなりました。そして頭痛で目が覚めるのです。そんな状態ですから何かやろうという気が起きません。意欲という意欲はすべて削がれ、頭は真っ白になって、最悪のときにはトイレに行くと言う簡単な行動さえもできなくなってしまったのです。日がな一日、部屋の隅で膝を抱え、最悪のことばかりを考えていました。声をかけられても意味を理解することができず、いつも責められているような気がして、刺激を受けるたびに泣いていました。」(本書より)

壮絶なうつ体験である。その著者がうつについて、その原因や恐ろしさ、そして解消法をまとめたものが本書だ。解消法とは言っても、著者は少しでも心配なら、まず精神科や心療内科の受診を勧めている。「プチうつだから、まだ大丈夫」が危ないのだと警告する。「うつとは百人いれば百通りの原因と病状と治療法がある」と考えるからだ。
   
   
本書に最初に出会ったのは近くの図書館であった。自分の状態をどう理解すればいいかわからず、うつ関連の本を片っ端から手に取っていた頃だった。そして本書のことが強く印象に残った。しかしまずきちんと自分なりの理解をしたいと思い、精神科医などの専門家による本を買い集めた。しかしこの本のことが忘れられず、結局昨日購入した。

「医師のカウンセリングでも何度も『あなたに非はないのですよ』と言われ、そのたびに気持ちを強く持とうと思っていたのですが、効能は一、二週間くらいしか続きませんでした。しかし私の母の言葉(「あなたは何も悪くない」)は深く心に残りました。一番理解して欲しい人に理解してもらえた喜びは、かくも大きい物なのです。」

こうした実際にご自身がうつと闘って来た著者だから言える言葉も多い。そして上記のようにポイントになる部分がボールドになっている体裁も見やすく、心に残り易いのだ。

そして読み終わってみて、なぜ専門家ではないこの本にこれほど魅かれたかがわかった気がする。わたしは、この本の温かさと優しさにあふれた丁寧で正直な文章に、癒されたのだ。