俳優近衛十四郎(このえ じゅうしろう)の殺陣が好きだった。子供ながらに「この人は別格だ!」と思っていたものである。「別格」という言葉は知らなかったと思うが。
近衛十四郎の素浪人シリーズは、テレビで大ヒットして「素浪人 月影兵庫」(1965)、「素浪人 花山大吉」(1969)と作られる。それを親と一緒に見ていて、9歳なりに面白い番組だと思っていた。それも二人の漫才のようなかけあいの妙とか、最後に近江中四郎が剣を抜いてからの殺陣の凄さとかも、しっかり楽しんでいた。
左が近衛十四郎、右が品川隆二
年代的には「素浪人 花山大吉」を一生懸命見ていたんだろうな。とにかく近衛十四郎の剣さばきが美しいのだ。相手をかなり近くで切る。カラダの軸が安定していて、ムダな動きがない。そして速い。
段取りが決まっている殺陣だとわかっていても、思わず見とれてしまうのだ。未だにこの人以上に殺陣に魅力を感じる人はいない。
という殺陣の話ではなくて、さらに思い出してしまったのは、その「花山大吉」シリーズが多分終わってからのことなんだろうけど、近衛十四郎に小さな妖精のような(だったかな)アニメキャラが絡むシーンが記憶にあるのだ、なぜか。1970年頃のテレビなのに。
人形とかではない。アニメである。だから実写とアニメの合成で、舞台は「花山大吉」風の時代劇。場面は居酒屋かなにか。さすがにシリーズで見た記憶はないのだ。“一場面”としての記憶しかないのだ。
何か特別にそんな実験的なことをやったのかなぁ。まさかねぇとは思うんだけど、わたしのアタマのすみっこにずっと記憶としてあるんですよ。
ずっと夢でも見たのかなぁと思っていたのだが、夢ではなかった。実際に実写とアニメの合成を、時代劇でやっていたことがこの度判明したのであります。
「時代劇専門チャンネル」というサイトに載っていた。近衛十四郎がアニメと絡むのは「素浪人 月影兵庫」、「素浪人 花山大吉」に次ぐ第3弾、「素浪人 天下太平」(1973)であった。
たぶんさすがに第3弾は少し趣向を変えようとしたのだろう、相棒の焼津の半次(品川隆二)はシリーズ2作目までで、第3シリーズはうづ巻の勘太(佐々木剛)が新しい旅の相棒。
同サイトには
「オープニングと本編中に登場するアニメの小鳥と言葉を交わしたりして、なかなかメルヘンチックな素浪人として描かれている。」
と書かれている。
これだ。わが記憶に誤りなし!
でもどうなんですか、時代劇でアニメって。これだけ印象に残ってるってことはインパクトはあったんだろうけど、違和感のインパクトかも。でも映画ではなく毎週放送のテレビ番組となると、技術的にもかなり冒険だった事は確かだろう。
それに「貧乏神」まで出てきて加勢するらしい。さすがにちょっと新機軸に針を振り過ぎなんじゃないか。ぜひぜひ観てみたい。
これだ。わが記憶に誤りなし!
でもどうなんですか、時代劇でアニメって。これだけ印象に残ってるってことはインパクトはあったんだろうけど、違和感のインパクトかも。でも映画ではなく毎週放送のテレビ番組となると、技術的にもかなり冒険だった事は確かだろう。
それに「貧乏神」まで出てきて加勢するらしい。さすがにちょっと新機軸に針を振り過ぎなんじゃないか。ぜひぜひ観てみたい。