2009年4月19日日曜日

「東京人生 since 1962」荒木経惟

  
1981年、「写真時代」という新しく過激な写真誌が登場した。この「写真時代」に載る写真は当時としてはかなり過激で、一個の写真集ではなく、雑誌にヘアヌードが載っているということで話題になったし、実際に警視庁に呼び出されて注意を受けたりもしていたこともまた、話題となっていた。

ここで過激なヌード写真を掲載していた人、というのが写真家荒木経惟氏の第一印象である。正直なところ、エッチな写真雑誌でエッチなヌード写真を載せている、エッチな写真家というイメージを持っていたのだ、時分自信を“天才アラーキー”と言った、り丸いサングラスをしてたのも、キワものっぽく思えたし。

ただ荒木氏の白黒ヌード写真は、ヘアが写っているとかいないとかではなく、写真自体がエロかった。そのエロさも、何と言うか作られたエロさではなくて、日常的な生活感まで取込んだその女性の全体が写されているような感じ。扇情的なエロ写真とは違って、どこか痛々しさみたいなものまで伝わってくる写真。

東京人生SINCE1962」(荒木経惟、バジリコ株式会社、2006年)は、そんな“アラーキー”の日常の風景や人物が1960年代から現在に至るまでまとめられた写真集だ。
   
   
確かにヌード写真もあるけど、ほとんどは日常的なスナップ写真である。これがいい。作り物じゃないんだけど多くを語ろうとしている一瞬を切り取った感じがする。そしてどこかに温かさとか不穏さが潜んでいる。

  
白黒写真の力を実感するとともに、やっぱり“アラーキー”のエロス全開写真も併せて見たくなった。あの痛々しさ、不穏さ、淫靡さ、つきまとう生と性と死の影。

写真につけられた簡単なコメントもとてもいい。
   

(写真はすべて「東京人生 since 1962」より)