小さい頃の津波のイメージは
サーフィンで見られるようなビッグウィーブ
あるいは葛飾北斎の「冨嶽三十六景」にある
有名な「神奈川沖浪裏」の図であった
当時の怪獣映画やパニック映画などで描かれたイメージである
そのイメージが変わったのは
1993年の北海道南西沖地震だった
奥尻島が津波とそれによる火災で
壊滅的な被害を受けた地震だ
しかし当時は映像の量が今ほど多くなかったから
津波が押し寄せる恐ろしさは実感できなかったと思う
津波の生々しい映像を目にすることになったのは
2004年のスマトラ島沖地震のことだ
波はビッグウェーブのような巨大なものではなかった
しかし圧倒的なパワーで全てをなぎ倒し飲み込んでいく様や
その被害の爪痕の壊滅的な様相は
津波の本当の恐ろしさを感じさせるの十分だった
今回の東日本巨大地震の映像にはさらに
海上から陸へと迫る津波の群れや
家や田畑を有無を言わさぬ勢いで
あっと言う間に塗り替えていく様が映し出されていた
津波の恐怖とはこういうものなんだ
初めてその恐怖のイメージを持つことができた
恐らく今まで津波に実際に遭遇した人しか
知ることができなかった恐怖の一端を
今回の映像は多くの人々に知らしめたに違いない
阪神淡路大震災の時
わたしは夜間定時制のスキー教室引率で上中里スキー場にいた
テレビから流れてくる情報は地震の揺れによる崩壊した大都市の様子と
その後の広範囲に渡る火災の悲惨さだった
瓦礫の下に残された人々の救出状況が次々と映し出された
中継していたNHKの男性アナウンサーが泣いていた
中継していたNHKの男性アナウンサーが泣いていた
今回の地震の恐怖はそれとは違う
いや同じ状況が起こったに違いないが
それらを津波が覆い尽くしてしまった
わたしのいる関東地方でも
あれだけ強く長い地震を体験した記憶はない
やはりそれは恐怖であった
しかしその後にさらに津波から逃げねばならないという
恐ろしさは想像を絶するものだっただろう
津波とはかくも恐ろしいものだったのか…