2017年2月25日土曜日

「うつヌケ」田中圭一


ボクを苦しめる 「辛さ」や 「不安」は
日に日に積み重なって 行き…… 
つらさに耐えられず
ボクは 彼らに こう約束したのです
ぼくが 50歳を むかえる 日に
自殺して あげる
そうすれば おまえらの つらさも
消えてなくなるだろう?

これが最初に描かれる
筆者田中圭一自身の話の、冒頭部分。
  
ああ、これは
  
「年度末には教員やめよう、やめよう、やめよう」
  
と自分に言い聞かせながら、
どんよりした頭で
前に進まない足を、無理やりズルズルと引きずって、
朝、職場への坂道を歩いていたワタシに似てるぞ……。
  
あの時は死ぬ気はなかったけど、
あのまま無理していたらどうなっていたことか……。 

いや最近
当時を振り返ってみたり
今に至る長い年月を考えてみたりすると、
けっこう自分は危なかったんじゃないかと 
思うようになってきたのだ。
死ぬことが怖くなくなって久しいしなぁ
  
さてこのマンガは、
筆者を含めて全部で17人のうつ脱出体験である。
いろいろな考え方、メッセージ、教訓、脱出法が
書かれているが、
いろいろ思い当たることが多いのであった。
   
・自分を好きになればいい
・朝目覚めた時に「自分をほめる言葉」を唱える
・突然リターンの原因には
 「激しい気温差」 などの引き金がある
・いかに「健康的なナルシシズム」を取り戻すか
・認知の歪み、思考のクセ
・180度逆の視点から見てみよう
・趣味には強制も責任もプレッシャーもない
・「その仕事辞めちゃえば」 と言ってくれる人
・脳を休ませて身体の声を聞く 

    
絵柄はあまり好みじゃないけど、
これくらいの距離感がある方が、
辛くならずに読めるのかもしれないな。

パッと読めば、一日で読めてしまうが、
噛みしめながら何度でも読める(ツライけど)
読み応えのある一冊であった。