2009年6月11日木曜日

「ウクレレ上達100の裏技」いちむらまさき

    
ウクレレはちょっと触った感じだと簡単な楽器に思える。小さくてかわいくて、楽器というよりオモチャみたいな感じすらする。

フォークギターのように大きくないから、ボディーを固定するのに苦労しないし、ネックも細いから弦を押さえるのに指が届かないこともない。逆に細すぎてコードを押さえる指が窮屈なことはあったりするけど。

弦の数もギターの6本に対して4本と少ないし、さらに通常のHigh-G仕様だと、向って1番左側の弦が1番低い音域ではないため、メロディーはほとんど残りの3本で担当するという身軽さ。その独特な弦の張り方が、ウクレレの軽い音色を作り出す訳だけど。

ところがやっぱりウクレレも楽器。だからやり始めると奥が深い。以前にいかりや長介の著書「だめだこりゃ」(いかりや長介、新潮文庫、2003年)からの引用として紹介した

「ホントはウクレレって大変な楽器だと思う。弦が多い方がごまかしも利くし、弦が長い方が音が低くて失敗を気取られにくいし。非常に繊細で、難しい楽器なのだ。」

というくらい、実は結構難しいのだ。少ない音でコードを聴かせる、正確な技術を求められる楽器なのである。でも、一方で楽しめればいいんだっていう考え方が強いのもウクレレのいいところ。だから堅苦しい入門書はウクレレには似合わない。もちろん上達には必要ではあるけどね。

そこでお勧めなのがこの「ウクレレ上達100の裏ワザ 知ってトクする効果的な練習法&ヒント集」(いちむらまさき、リットーミュージック、2008年)である。「100の裏ワザ」シリーズ共通なのだが、花くまゆうさくのイラストがいい味を出している。思わず拍子を見てるだけで力が抜ける。

中味も深い。裏ワザと言ってもウクレレの持ち方や弦の張り替え時期のような基本的なことから、コード進行の理論や難しいコードの押さえ方、さらには「覚えたプレイを確認するには→仰向けに寝て練習せよ」なんていう楽しいワザも紹介されている。

最初から全てを理解する必要はない。ウクレレを練習して行くと、ここに書かれているようなことが気になり出したり、課題になってきたりするのだ。その度ごとにページをめくって、「あぁ、こんなやり方や考え方をすると楽なんだな」って思えればいい。

でも次の一文はちょっとイタかった。

「筆者としては、本格的に活動をしない人ならば10万円以上のウクレレは必要ないと思います。ウクレレはチープであることが魅力の一つであり、あまりにも完璧過ぎるとギターに近づいてしまうからです。」

う〜ん、許してください、High-Gにこだわりますから。チープさはありませんが、ギターっぽくはないですよ、ほんとに。

まだまだ末永く、折に触れて役立ちそうな本である。