2009年6月12日金曜日

「恋恋風歌」つじあやの

   
恋恋風歌」は、ジブリのアニメ「猫の恩返し」の主題歌「風になる」を含む、つじあやのの2003年の作品。わたしも「風になる」で“つじあやの”という歌い手を知ったクチなのだけど、アルバムを買ってしまうほど気に入っていたんだとは買うまで気づかなかった。

そして実際にアルバムを手にして、「風になる」も確かに良い曲だけど、アルバム全曲が良い曲なので、その中の一曲に過ぎないと言うことにとても驚いた。

最初から最後まで聴き入ってしまう。それも肩の力が抜けて、イヤなことも忘れて、けっこう素直な気持ちになれて、聴いてしまうのだ。

ウクレレを始める前だから、特別そういう視点で興味を抱いた訳でもない。ウクレレの音に特に魅かれた訳でもない。今はウクレレを習っているから、「あ〜、この雰囲気はウクレレだから出せるんだなぁ」とかいう聴き方もするけど。

何と言っても彼女の声。天性の声。柔らかな声の魅力と、それを活かしたストレートな歌詞、そして美しいメロディーとシンプルな演奏。ウクレレの魅力そのもの。ウクレレの良さを歌で表現したらこうなりましたっていうような、自然でやさしい歌。

最初の曲「桜の木の下で」はしっとりと低音から始まり、サビは高音に移る。しかしゆったりした声のやわらかさは変わらない。低音も高音も力まない。これは聴いていると聴き流してしまいがちだけど、凄いことだ。

技術的にも表現力の点でも、もちろん声質においても、天賦の才能だと思う。小細工のないナマの音で勝負している。極上のポップス。傑作アルバム。

個人的には、こうしてハワイアン以外で、ウクレレの魅力が聴けるのもうれしいんです。