太平洋の深海から突如次々とKaiju(怪獣)が出現し
環太平洋(Pacific Rim)連合軍が
巨大ロボット(人型巨大兵器)Yeagerで
その脅威から人類を守ろうとするというお話
ストーリーに捻りがないとか
人物描写に深みがないとか
Kaijuに神々しさや重量感が足らないとか
指摘することはできるけど
それをこの映画に求めるのは筋違いだと
切って捨てることもできるくらい
怪獣対ロボットのバトルが凄かったのであった
東宝怪獣映画のプロレスもどきなどつき合いでもなく
(初期)大映怪獣映画の生物同士の殺し合いでもなく
人と獣の肉弾戦という感じなのである
この「怪獣(巨大生物)同士の戦い」は
日本怪獣映画の一つの行き詰まり点だったと思う
平成怪獣映画はゴジラもガメラも
どう戦わせるかの術を失って
結局飛び道具(光線とか熱線とか火球とか)の
撃ち合いになってしまった
「ガメラ3」では確かに最終決戦において
肉弾戦の様相を呈してはいたが
最後の一撃の印象が強い割に
実際にはイリスとほとんど絡み合っていないし
こうした“巨大生物(ロボット)同士の戦い”を
しっかりと迫力満点に見せてくれたことだけ見ても
この映画の意義は高いと言えるだろう
さらに今までの限界を突破してみせたのが
イェーガー“ジプシー・デンジャー”搭載のプラズマ砲
そして対するKaijuの電磁パルスや酸だ
「Godzilla」や「Cloverfield」の怪獣(Clover)に
どうしても火炎や放射能熱線を
吐かせることができなかったハリウッドが
ついにこうした攻撃をKaijuに許したことは
大きなことに思えるのである
こうしてKaijuはさらに怪獣らしくなり
バトルにも広がりが生まれた
右脳と左脳を別々に担当して
二人が互いとマシンにシンクロするという
「エヴァ」っぽい設定を敷いている割に
実際の戦闘では二人がタイミングを合わせて
「よいしょ、よいしょ」って感じで歩いて
「せーの!」って感じでパンチを打つのも
鉄の塊的なちょっとアナクロな外観にマッチして
返って“肉弾戦”ぽい感じを醸し出していた
日本の怪獣映画が
妙に理屈っぽくなってしまったり
新鮮味の無いメッセージにすがってしまったりして
失ってしまったワクワク感が
ここには確かにあると
思ったのでありました