プレビューの映像の迫力から
ちょっと興味があった
ユニバーサル映画100周年記念映画「バトルシップ」を
レンタル屋産から借りてきて観た
戦闘場面のVFXは確かに迫力のあるものだったが
全体としてメカの重量感が足りない感じ
そして脚本的にはダメダメであった
ただいわゆるハリウッド的SF映画の
特徴みたいなものを考えるきっかけにはなった
簡単に言えばハリウッド的SFは
次のような何かを確認するためのストーリーに
なっていることが多いように思う
まずとにかくアメリカ礼讃で
USA先頭でイケイケゴーゴー!というもの
「バトルシップ」では退役軍人と退役艦まで活躍して
米軍礼讃を盛り上げてくれる
地球外からのエイリアンと戦う地球代表は
アメリカなのだという自負と主張
この感じはアメリカ大統領が英雄になる
「インディペンデンス・デイ」などにも通じるものだ
それからSF的試練を乗り越えることで
崩壊した家庭や夫婦や恋人同士が
最後に関係修復されるというもの
「宇宙戦争」などまさにダメオヤジの復権の物語であるし
「バトルシップ」では恋愛の成就がこれにあたる
いやむしろ主人公が
上官の娘に恋をしその上官に結婚を認めてもらうために
宇宙からエイリアンが飛来し
成り行き任せで“人類を救う”ことになったかのような
本末転倒的能天気さに溢れていると言える
そうした作品と比べると
「パシフィック・リム」がかなり頑張っていることがわかる
そこには主人公の苦悩も
男女の恋愛も育ての親と子の物語も確かにある
でも圧倒的な戦闘の前ではそれらは些細なことに映る
同じようにVFXを駆使していても
そのVFXでロボットや怪獣の異様さと戦いの激しさを
きちんと映画の中心に据えようという思いが感じられる
余計なヒューマンドラマに流れないのだ
そういう意味では深みは無いとも言えるかもしれないが
逆に荒唐無稽さを真面目に映像にしようとしている点で
1960年代日本SF&怪獣映画に通じるものを感じるのである
「トランスフォーマー」はド迫力の変形場面に比べて
最後はただのロボット同士の殴り合いみたいな
ちょっと残念なバトルに落ち着いてしまうが
「パシフィック・リム」では
一応最後まで巨大さや重量感は保てていたため
異形の物同士の戦いにはなっていたと思うが
これはとても大事な点だと思うのだ
と…「パシフィック・リム」の肩を
しきりに持ちたくなるのは
やっぱり怪獣映画が観たいからなんだろうな
「パシフィック・リム」をきっかけに
できれば怪獣の本家日本から
ワクワクドキドキな怪獣映画が生まれることを
願っているんだなワタシ
間違ってもハリウッドのマネをして
恋愛とか成長とかと絡めて欲しくないし
なかんずく“絆”などという話には
絶対持って行って欲しくない
“成就されない恋愛”とか“断ち切られる絆”とか
そういうディザスター映画なら許すかも…
しかしつくづく思うのは
ガメラ3が“わたしはガメラを許さない”という
怪獣災害被害者の怨念をテーマにしたというのは
ハリウッドからは生まれて来ない
凄いものであったなぁということである