前知識ゼロで、アニメ版「美女と野獣」も未見。
だから冒頭ベルが歌い出し、
ミュージカル仕立てな作品だとわかってびっくり。
そこから怒涛の展開で2時間あまりを突っ走る。
ストーリーはシンプルだが、
とにかく音楽と映像で
とことん楽しませてくれる映画だった。
まず、とにかくエマ・ワトソンが良い。
美しく可愛らしいのだが、
扮する〝美女〟ベルは古い村社会の中で、
自分の生き方を貫く〝fearless〟な女性という設定だ。
このギャップの萌えポイントが高い。
その〝のけもの感〟が
野獣との共感・理解に繋がるという設定も良い。
さらにお城の内部のコントラストのくっきりした映像。
豪華絢爛な部屋を照らす、ろうそくの明るさと闇の暗さ。
CGの色味にチューニングしたような画面の濃密さに
リアルな人間たちがうまく溶け込んでいる。
そもそも中世フランスが舞台なのに、
宮廷に多くの黒人がいるという〝忖度し過ぎ〟な違和感。
外見で人を判断してはいけないという戒めなのに、
それを実行したのはベルの方で、
王子は美しいベルを愛したという物語的な矛盾。
CGに色味をチューニングしているせいか、
逆に雄大な自然の風景や村の巨大セットが
リアルに見えない(CGに見える)という悲しさ。
CGによる〝生きている〟家具や食器やCG合成〝野獣〟が、
キャラクターとして魅力的なのに対し、
魔法が解けて現れた人間の残念感。
(魔法が解けてよかったね、という気持ちがわかない…)
と、ツッコミどころや、?な箇所はあるのだが、
CGを駆使したサービス満点の豪華絢爛な映像美と、
生身の人間によるミュージカル仕立てのショータイムと、
CG的な動きのぎこちなさも込みで
異形の者としての存在感があった野獣と、
やっぱりエマ・ワトソンの魅力とで
ぐいぐい持っていかれてしまったのだった。