2009年2月9日月曜日

異端のウルトラマン「ウルトラマンネクサス」

国内のウルトラマンシリーズなのに、兄弟にも入れてもらえず、放映時も子供からの指示を得られず、途中で打ち切られてしまったという悲運にして異端のウルトラマン、それが「ウルトラマンネクサス」だ。2004年〜2005年に、土曜の朝7:30〜8:00という無謀な時間帯で放映された。

見る側にとっては土曜なのに早起き、制作する方にとってはゴールデンタイム枠ではないから低予算という悪条件の中スタートした「ネクサス」は、映画「ULTRAMAN」と世界観を共有するなどユニークな設定であったが、まず最初のエピソードが暗かったことで子供の関心を掴めず、一緒に観ていた親の反感を買ってしまった。

当時私も世間の反応が知りたくてネットで見て回ったが、「親子で見る番組ではない」「期待してたのにガッカリ」「暗くて子供が怖がる」みたいなコメントが多かったのを覚えている。

  
   
まず全体としてストーリーが子供向けではない。毎回読み切りではないので、ストーリーの展開を予測したり、関連づけたりと、大人の楽しみ方が要求される。そしてビースト(この世界では“怪獣”とは言わない)の気持ち悪さ、ナイトレーダーと呼ばれる対ビーストチームの暗さ。この暗さはリアルさとも言えるのだが、子供には受けないだろう。

そして問題の最初のエピソード。ウルトラマンにならない主人公の恋人を襲う異変。部屋に貼られた不気味な絵。家族との団らんが瞬時に崩壊する妄想。そして実は彼女はすでに死んでいて、操られていたという事実。観ているこちらにトラウマが残りそうなスタートだった。
しかし、確かに低予算なのかなと思わせるような、セットの貧弱さやビーストの使い回しなど、ウルトラマン vs ビーストの対決場面には物足りなさはあったが、先の読めない展開、謎の多いストーリー、他のウルトラシリーズにはない印象的な場面など、大人の番組と割り切ればとても楽しめたウルトラマンだった。ウルトラマンになれる人間が変わるというのも斬新だったし。毎週欠かさず観ちゃいました。

予定に反して途中で打ち切りになっても、最後なんとかすべての謎を解いて話を終えることができたときは、スタッフの方々に感謝してしまったくらいだ。だから次の「ウルトラマンマックス」、「ウルトラマンメビウス」はもう物足りない。色々工夫しているのは分かるけど、基本は「ネクサス」以前に戻ってしまったからね。

異端のウルトラマンネクサス。でも唯一、大人の鑑賞に耐えうる“ドラマ”としてのウルトラマンになった作品。今では映画で当たり前になってしまったが、初めてCGでウルトラマンの格闘場面が描かれた作品でもある。カルトな人気を持つというのもよくわかる。

ただし「マックス」のミニチュアセットは実に良かった。それもセットの奥にマックス vs 怪獣を置いて低い位置から撮る場面が多く、ミニチュアワークの素晴らしさにワクワクしてしまいました。ああ懐かしい。

    
  
(写真は上がガチャガチャフィギュア「ウルトラマンネクサス」、下がチョコエッグ系フィギュアで敵役の「ザギ」。ザギのデザイン好きなんです。このフィギュアもガチャガチャより小さいのにいい仕事してますね〜。)