「筋肉少女帯」は大槻ケンヂ率いるロックバンドであるが、上手いとは言えない(特に初期はただただ怒鳴っていた)大槻の歌う幻想的、耽美的、自虐的、逃避的、絶望的な詞、そこに被さる超絶ギターを核としたハード&プログレッシヴな演奏が、何度も何度もわたしを救ってくれた(写真は『月光虫』)。
大槻ケンヂの詞は「大槻ケンヂ全詩歌集 花火」(メディア・ファクトリー、2003年)で読める。でも曲として聴かないと世界が伝わり切らないけど。
「人間椅子」は「新月」は「孔雀音」とはまたまた違った日本を感じさせる唯一無比なバンド。文学的な詞、地獄の闇からクトゥルー神話に至るまで描かれる広く、多彩な世界、そしてヘヴィーなサウンド(写真は「人間椅子」)。
海外のプログレやワールドミュージックブームもあって、ジプシー・キングスなんかにものめり込んでいたから、暗い暗い時期では全然なかったけど、音楽に救われることを実感したなぁ。
そして2000年。2000年代の支えは「椎名林檎」と「柴草玲」。正反対の二人。「椎名林檎は」飛び抜けた個性。独特な歌詞と硬質な声。何を歌っても歌が上手い。そして初期の巻き舌唄法から、次第に自然な歌い方になってきたけど、世界は深くなった。そしてバンド演奏は超テクニカル(写真は『勝訴ストリップ』)。
「柴草玲」はピアノ弾き語りを中心とした演奏をバックに、思うようにいかない大人の恋の世界を切なく、そしてさらりと歌う(写真は『うつせみソナタ』)。彼女のほどすうっとココロに入ってくる歌はない。面白いことに、たまたまケーブルテレビのBGMで流れていたのを、これは!と思って書き留めた名前が彼女なのでありました。
こうして今の音楽の砦があるわけです。
こんな風に自分の音楽歴を振り返ってみるのは初めてで新鮮。まぁ節操がないというか、本流から外れたところに行ってしまうというのが、サガでしょうか。
でも、時期的にはそろそろ次の10年の音楽が現れる頃かな。