くねくねとロープで仕切られた場所を抜けて
ロープウェーの搭乗口のような改札を通り
乗り込んだ電車の車内は
体面の座席が続く普通のものだった
でもそれはケーブルカーのように急勾配の斜面を
そしてロープウェーのように空中を
一直線に山頂付近まで登る登山電車で
終点は雲の上にある別世界なのだった
電車を降りて向かったのは職場である学校である
教壇に立って授業を始めると
新採の同僚の方が一番後ろの席に座っている
手にしたノートにメモをしながら
ワタシの授業を見学しているのだ
部屋には30人くらいの生徒がいて
みな黒っぽい学生服を来ている
男子が学ランを来ているのは
初任校の雰囲気に似ているなぁと思う
そしてその初任校や定時制と同じように
オレはこんなところにいたくないという不満を
服装や態度で主張している男子生徒が
後ろの方の席に二人ぐらい居る
あ〜あ…またこういう生徒と
渡り合わねばならんのか…と思う
するとその二人が授業中にもかかわらず
何も言わずに教室を出て行ってしまうのだ
はぁ…追わないわけにはいかないか…
と思いつつ教室を出たワタシは
そのままずんずんと駅まで歩いて電車に乗り
ふもとまで一気に降りてしまうのだった
そしてそこで
あ…あの二人を追いかけるんだったと
やっと気づくのだ
すべてを放り出して山を下りてきてしまったと
陰鬱な気持ちになるのだ
しばらく逡巡した後
重い気持ちとカラダにムチ打って
再び山頂へ向かう電車へと乗り込む
到着した電車からは
たくさんの高校生たちが降りてくる
すでに今日の学校は終っているのかもしれない
でもワタシは戻らなければならないのだと
彼らとすれ違いながら思う
電車に乗り込み空いている座席を見つけると
へなへなと座り込んでしまう
昔はずっと立っていられたのになぁ
体力じゃなくて気力の問題か…と
ちょっと情けなくなる
そんな夢
楽しい夢ってあまり見ないなぁ
でも夢を見るのは好きである
それがたとえやりきれないものであっても
あるいはひどく恐ろしいものであっても
多分夢に見ることで
何かを発散しているんだろうと思う