巨大建造物を作っている秘密の場所で
ワタシは働いているのだ
そこは表向きは定時制工業高校である
工業高校だから様々な機械を使うことも
建物内に搬入することも自然だし
実習棟などのために施設も広く取れるし
定時制だから夜間に人の出入りがあっても
不審がられることはないからだ
その校舎の地下には
巨大な地下施設が広がっていて
建造物が人目につかないままに
地下を抜けて東京湾に出るための
秘密の巨大地下通路も設けられている
夕暮れの校門をくぐって校舎内の暗い階段を下り
ワタシは地下一階を歩く
ここはまだカムフラージュのための階で
廊下とカウンターなどが入り組んでいる
大きな役所かオフィスのような場所だ
天上の低いちょっと圧迫感のある空間には
作業服や白衣を来た“教員”がたくさんいて
“授業の準備”などを行っている
ワタシはその人たちの脇をすり抜けながら
建物の反対側まで行こうとしている
「日本語指導の担当になられたらどうですか。もうここで働いて一年になるんだから、その資格を取ることができますよ。」
近くを“教員”が三人連れで歩いていて
その一人が横を歩くもう一人に言う
確かにここでは外国人生徒が多いから
日本語指導ができる人は必要だよなとワタシは思う
さぁ急がないとそろそろ生徒が来てしまう
ワタシはどこに行くのか何をしたいのかも分からないまま
とにかく先を急ごうと思う…
夕食後のうたた寝で見たそんな夢
ワタシのクラスのある生徒が
他の生徒たちを待ち伏せして暴力を振るう恐れがあるとして
教育委員会と相談して急遽臨時休校を決めたという
もの凄い事件もあって
本気で教員辞めようかと思ったこともある
大変な学校ではあったけど
やっぱりあの夜間定時制高校勤務時代は
生徒と色々な話もできたし
パソコンを使った授業の実践もできたし
トータルでは楽しかったんだろうなぁと思う
だって間違いなく夢の舞台は
古くて暗くて長い廊下があちこちへと続く
あの定時制工業学校なのに
ワタシはそこに居たたまれなさを
全然感じなかったのだから
ワタシが異動になった10数年前から数年して
その定時制高校は統廃合され消滅し
校舎が取り壊された広い敷地には
高等専門学校の巨大インテリジェントビルが建設された
でももしかすると
地下にはさらに巨大な秘密工場が作られて
今でも海底軍艦の研究・建造が
行われているのかもしれないな