2011年5月6日金曜日

真鍮丸パイプの悩ましさ

手作り腕時計のガワは
基本的に1枚の真鍮板からパーツを切り出して溶接し
円形に成形しつつ作りあげていく

教室では通常0.5mm板を使うのだが
好みとしてもっと厚みが欲しいのだ
しかし真鍮の1mm板だと
切り出すのも成形するのも大変なのである

そこで丸形に関しては
真鍮パイプをカットして使うという秘策を
見つけ出したのであった

  
今の時計教室では通常直径3cmで作ることが多い
残念ながら3cmピッタリのパイプはなかったので
ちょっと大きめの3.2cmを使っている

カットも最初は金属ノコギリでギコギコと切り
ギザギザしたり凸凹した切り口を
幅(高さ)0.8cmを目標に平らに削っていくのだが
これも相当大変な作業であった
「パイプ使っても思ったほど楽じゃないじゃん…」
ていうのが
パイプを使用し始めた頃の印象である

ところが良いものを見つけたのだ
配管作業用のチューブカッター(右図)がそれで
直径0.3〜3.5cmまでを軽々とカットできるのだ
  
   
使い方は簡単で
パイプを噛ませて刃を少しずつ食い込ませながら
チューブカッター本体を
パイプの周りをぐるぐると回していくだけ
刃が同じ場所をきれいになぞっていくうちに
最後はポロリとカットされるのである

切りくずがほとんど出ない
切り口も美しい
力もいらない
むしろ切るのが楽しいくらいである

さてそれなら今度はムーブメントがギリギリ入る
直径2cmの最小サイズの時計を作ろうかと思って
またまた丸パイプを探してみた

そうしたら直径1.9cmはあるのだが2.0cmはないのだ
1mm厚のパイプの直径サイズなので
内径は恐らくムーブメントを入れるには小さ過ぎる
その上となると2.5mmになってしまう
それはそれで面白そうであるが
最小サイズに挑戦ということとは違ってしまう

悩ましいサイズ設定である
やっぱり最小サイズは苦労して手作りかな

ちなみに真四角のパイプっていうのも欲しいのだが
ステンレスならあるのに真鍮ではないのだ
でもあったとしても今度はパイプカッターでは切れないから
丸パイプほどのありがたみはないのかもしれないけれど…