2016年6月17日金曜日

「宇宙戦争」雑誌掲載時の挿絵

「宇宙戦争」は当初雑誌の連載として登場した。
その際に多くの挿絵が添えられていた。

ただ、単行本化に際して大幅に加筆され、

さらにその後も修正が加えられたので、
現在のかたちに落ち着くまで、
なんと39年もかかっているのである。

そんなことを考えつつ読むと、

以下の文章がちょっと気になるのだ。

 特に良く覚えているのは、この戦争の一連の出来事をまとめた初期の小冊子の一つに載っていた挿絵である。その画家は明らかに、戦闘機械の一体だけをもとにした、付け焼やき刃の知識だけしか持ち合わせていなかった。画家は戦闘機械を、斜めに傾いた状態で固定された三脚として描いた。そこには柔軟性や精妙さはなく、動きが単調であるという大きな誤解を生むものだった。こうした図を載せていたその小冊子は、当時大いに人気を博した。私が今わざわざこのことに触れたのは、とにかくこの冊子を読んで得た印象は間違っていると読者に警告したいためだ。

(第二部 地球征服 第二章「廃屋から見えたもの」より)

これはもしかして、

最初に雑誌連載した時の挿絵のことを
暗に指しているんじゃないか?
加筆した際にわざわざ加えたんじゃないか?
  
といいたくなるくらい、
このウォーウィック・ゴーブルの挿絵は
火星人やら戦闘機械やらが
写実的な画風(上図)の中で
ウキまくって(下図)いるのである。


人物や場面の描写は見事

「斜めに傾いた状態」の「動きが単調という誤解を生みそう」な戦闘機械

ウォーウィックが、
見た事もねぇものなんて描けるかい!
って(絵で)言っているのに対して、
後からウェルズが、
なんじゃい、この絵は!
って(物語で)言っているようで面白い。