誰から頼まれたわけでも、締切があるわけでもないが、
〝売り物〟というレベルを目指す以上、
翻訳という今の〝仕事〟はなかなか大変なのである。
当然のことながら一日中デスクワークなので
特に目が超ドライアイになってしまう。
翻訳そのものだけでなく、
ネタ選びから図版加工から出版申請にいたるまで、
すべての仕事をこなすわけだから、
作業量もかなりのものだ。
そして、そのすべてにミスがないように気を遣うので、
かなりのストレスを、常に抱え込むことになる。
だから、もちろん翻訳に挑戦するのはやりがいがあるし、
最終的に訳本が出版されるのは嬉しいし、
そんな仕事には大きな充実感があるのは確かなのだが、
一冊の本を完成させるには、
身を削り、魂を削るような思いをするのである。
ところが、いざ翻訳作業が終わってみると、
一週間経つか経たないかくらいでもう、
何もしていない無力感と罪悪感が襲ってくるのだ。
誰に責められうわけでもない、
自分自身に責められるのである。
これだけ頑張ったんだとか、
今はその疲れを癒やす時期だとか思っていても、
もう一人の自分が、容赦なく非難し始める。
大の大人が、何もしないでいるのか、
自立も自活もできないまま、
生きていて恥ずかしくないのか、と。
もちろん、いろいろ言い訳や反論で応戦はする。
でも決して、もう一人の自分に勝つことはできない。
それは言い訳でしかないと、
実は、自分も思ってしまっているからだ。
だから、何もしないでいるととても不安になる。
この苦しみを味わい続けるなら、
心身を削ってでも、
何か仕事をしていたいと思ってしまう。
こうして、常に精神的な余裕がないままに、
まるで何かに追い立てられるようにして、
仕事をしていてもしていなくても
ずっと苦しい状態が続くことになる。
できることならずっと眠っていたい。
起きて意識があることがイヤになる。
実にやっかいだなぁ。
ダウン9年目にして、まだこんな感じなのだよ。