この時間でももしかすると寝起きかもしれないし
そもそも人を向い入れる状況ではないのはわかっているので
駅近くで昼食を済ませてから実家へ向う
案の定母様と弟クンは起きたばかりのご様子
でも三ヶ日は男がお雑煮を作るという
父方の“家のしきたり”に則って
弟クンが作ったお雑煮を食べていた
偉いぞ弟！
新年のご挨拶を交わし
喜多院のお札の一つを渡して
箱根駅伝往路の中継を見ながらダラダラと過ごす
母様も弟クンも風邪気味で
わたしもまだ完全復活していない状況だったので
長居するのは止めて早々に家を出たものの
自然と雑談で出てきた小学校への通学路を歩き始める
その通学路にはかつて
大きくて暗い竹やぶが茂った一角があったのだ
そこがきれいに分譲住宅地になったと言うから
無性に見てみたくなったのだ
その変わり様はかなりドラスティックなものであった
趣きも奥行きもキレイサッパリ無くなって
舞台の書き割りのような風景が広がっていた
そのまま小学校までかつての通学を歩いてみたが
ドラスティックな変容ぶりは竹やぶの一角に留まらず
通学路全体に及んでいた
とにかく分譲住宅の嵐といった感じ
かつては畑や茶畑や空き地が広がり
茶ノ木や垣根で境がされていた風景はなくなり
道の右も左も真新しい住宅が
すし詰め状態で立ち並んでいた
それでも道の曲がり方はかつてと変わらず
そのところどころに
肩身の狭い思いをしながらわずかに残っていた
昔と変わらぬ風景を見つければ
小学校の頃の思い出と懐かしさが次々に甦る
知らず知らずに独り言を言い続けているわたし
でも記憶のそれと比べると道はあまりに狭く
曲がり角から次の角までの距離もあまりに短く
幼いころの景色の懐かしさとともに
自分自身の幼さにも思いを馳せているうちに
あっという間にもう小学校が見えてきたのだった
あの頃は小さかったんだなぁ
小学校も変わっていなかった
二階建てと三階建ての校舎が通路で繋がっている作は
40年以上前に卒業した当時のままで
外装を塗り直しているせいか古さはあまり感じられない
体育館の屋根の痛みが激しかったのが目についたくらいだ
敷地内の正門を入ったすぐのところに
高圧線の鉄塔がど〜んと建っているという
今考えると結構珍しい光景もそのままだ
学校の周りを巡る道を歩いて
どの角度から見ても
学校があまりに変わっていないことに胸がざわめく
校舎から校庭へ降りる坂道…昔はここの角に焼却炉があったなぁ
自動車のタイヤを半分埋めただけの遊具…あったあった
丸太を半分に切って作ったベンチ…まだこんなものが残ってる！
野球のバックネット…体育で「乗り越えろ」と言われたっけ
でもどれもこれも記憶のそれと比べて
8割ほどの大きさでしかない
8割ほどの自分じゃなきゃ同じ光景は戻ってこないんだろう
そのままのんびり歩きながら駅へ
なんだかとても
お正月らしいお散歩をしたのかもしれないなぁ
とホクホクした思いを胸に
彼女の元へ向う電車に乗り込んだのでありました
