大槻ケンヂ氏が勧めていたので
思わず買ってしまったのがこの
「がらくた から たから: 古道具屋 - 新たなネウチを生む仕事」
という本であった
個人的にも中古CD販売とかやっていて
古道具という“中古品”を扱ったこの本に
何だかとても魅かれたのだ
古道具屋って
いったいどんな風に雑多な品物を揃え
本書のタイトルにもあるように
その言わば“がらくた”を並べながら
日々の商売をやり繰りしているんだろう?
そういう疑問に対して
未知なる古道具屋縦社会の様子や
その世界に飛び込んだ筆者の様々な経験や
そこから練り上げた商売のための技術・哲学が
じっくり丁寧にかつ楽しく語られるのだ
思った以上に真面目で真剣な職業紹介本なのであった
もちろん
「劇団や映画関係、ストリップ劇場、緊縛師、編集&ライター、デザイナーなど」
と書かれているように
経験した職種やその数の多さから伺える
筆者のアウトローな感じもまた良いのである
そして結局同業者である仲間や先輩とも
モノを買ったり売ったりする際のお客さんとも
人間関係がとても大事であることが良く分かるのだ
むしろそういう人間関係に興味がある人じゃないと
この仕事は向いていないとさえ思えてくる
趣味や酔狂で集めた古道具に囲まれている
頑固オヤジあるいはダメオヤジ的なイメージとは
実体はそれほど違っていたのである
こういう仕事を詳しく知ると
自分の中の仕事観が一気に広がるのだ
そして今までなんて狭い視点で
仕事とか人生とか考えていたんだろうって
思えてくるのである
こうやって好きなことに夢中になって
芋づる式に次の世界が開けて行く人生
将来に対する予測も計画も難しいけど
今やっていることが楽しいから
一生懸命続けられるっていう生活
そういう生き方だって十分にアリなのである
今の自分はそういう生活に近いといえば近いんだけど
この本の筆者のように
それを認め肯定し楽しんじゃうっていう境地には
まだまだ至っていない
「オレは満員電車に揺られるサラリーマンなんか出来ねえよ。」
とは言えなくて
「やれば出来るけど、そうじゃない生き方を選ぶんだぜ。」
みたいな
歯切れも思い切りも悪い言い方しかできないのは
変なプライドみたいなものに縛られているのだな…
もっと自分本位に生きる
そのための苦労ならいとわない
そんなことを考えさせてくれる本であった