2016年4月14日木曜日

火星人の侵攻はゴジラ的である

今訳している「宇宙戦争」では、
火星人は戦闘機械に乗り込み
円筒が落ちたロンドン西部の近郊から
陸伝いに歩いてロンドンを侵攻する。
人々は、それを避けるように大挙して
北部から東部、そして船で海外へと逃げるのだ。

海に囲まれている日本だから

陸伝いに攻め込まれる恐怖は分かりづらいかと思ったが、
でもどこか〝馴染み〟がある気がしたのだ。
そしてわかったのである。
ゴジラがやって来る恐怖感に似ているのだ。

ラドンやキングギドラやギャオスなど

空を飛ぶ怪獣にはこの恐怖感はない。
逆にいつどこから襲われるかわからない恐怖があるけれど。

ゴジラはただゆっくりと着実に、歩いてやって来る。

だから人々は進路から避難し、
逆に自衛隊は進路上に集結し、防衛線を張る。
ゴジラは決して歩くことを止めないし、
自衛隊はゴジラの歩みを止められない。
大魔神的恐怖と言っても良いな。

事の重大さを理解できずに、避難しない人、

最後まで金に執着する人、
他人を押しのけて逃げようとする人、
恐怖に乗じて金儲けをしようとする人、
どれも〝迫り来る怪獣を前にした愚かな人間〟として
どこかで見たような描写が続くのである。
もちろん「宇宙戦争」がオリジナルだけど。

レギオンは空を飛べるのに、

この迫り来る敵を食い止めるという攻防を描くために、
最終決戦においては地底から登場させたのだろうな。

さらに言えば、その恐怖は

毎年日本を襲う、台風や豪雨などの自然災害の恐怖に
行き着くのかもしれない。

いずれにしても「宇宙戦争」は

実に怪獣映画的な物語であった。