2015年1月25日日曜日

出版翻訳専門サイトを見て思う

「ジャングル・ブック」を訳していて
ネットで英単語や日本語表現の検索をしていたら
たまたま「TranNet」という出版翻訳専門サイトを見つけた。

一瞬、「おっ!」と思った。

自分の仕事がここにあるかもしれない、と。不遜にも。

で、いろいろ読んでみたところ、こりゃ無理だと思った。

当たり前なんだけど、出版翻訳オーディションを受ける。
成績評価などをもらいながら
最終的に出版社が翻訳者を選定し合格となる。
そして具体的な翻訳作業が始まるのだ。

こういうふうに地道に努力して

階段を一段一段上がっていくというのは
今のワタシ的にはもう無理である。

いまさら面倒臭いというのが正直な気持ちだけれど、

デジタル限定であれ、いきなり店頭に並ぶという
Kindleならではの楽しさを知ってしまったのと、
自分の好きな作品が出せるという
モーチベーションにも関わる
大きな自由が与えられていることが、
とても大きな魅力だからだ。

ただ、読んでいて面白い情報もあった。



・本のボリュームは平均300ページ
 訳して400字詰め原稿用紙で500枚といったところ。
・翻訳者に採用された場合、
 1冊にかける翻訳期間は2~3カ月が標準です。
・プロとしては1日7~10枚程度の翻訳速度が必要。
・翻訳料金は買切りとし、翻訳依頼時に提示します。
 400字詰め原稿用紙1枚500円前後が多い。

どうです、これ?
ちなみに「吸血鬼カーミラ」では
訳文が400字詰め原稿用紙で230枚程度。
翻訳期間は、文章校正や図版準備、デジタル化、修正版作成
すべて含めて一ヶ月弱であった。
500枚換算で2ヶ月程度ってところだから、
なかなか良い線ではないでしょうか。

しかし買い切りだから
どんなに売れても印税は入らないのだね。
そして一冊完成して25万円程度の収入なのだ。
2〜3ヶ月かけて25万円は厳しい!
  
実績を積めばそれなりに
原稿料とか翻訳料は上がるのかもしれないけど、
それでも順調に仕事がもらえてのことである。
生業としてやっていくには覚悟がいるな。

ということで、もちろん
2〜3ヶ月で25万円ですら夢の夢であるけれど、
やっぱり今のKindle翻訳家生活の方が
わが身には合っていると実感したのであった。

やりがいがあるっていうのは大きいからなぁ。