2015年6月24日水曜日

残り10mは息継ぎなしで

高1くんは保育園時代に一度、
小学校時代にも一度、
スイミングスクールで水泳を習ったことがあるのだ。
それでも泳げなかった。

保育園時代にも小学生時代にも

外からガラス越しに様子を見ていたことがあるのだが、
特に水が怖いわけでもないようなのだが、
どうも一人だけ浮いていたのだ(水泳だけに…)。

まわりの子たちは、泳げようが泳げまいが

バシャバシャと楽しそうにしているのに、
高1くん(当時は“年長くん”ぐらいか)は
所在無さそうに立っているのである。

つまり、水遊びも泳ぐことも楽しく無さそうなのだ。


その高1くんが今春入学した高校は、

50m泳げないと、特別補習があるのである。
高1くんは入学当初からそのことを気にしていた。
1日だけスクールに行ってみたのだが、
基本の蹴伸びからやらされたと言っていただけで、
少しも進展しなかったらしい。

切羽詰まった高1くんは、先日の日曜日に

友だちと一緒にプールに行き
息継ぎを教えてもらってきたのだった。
それでどうにか25m泳げるようになったのである。
“火事場の馬鹿力”的な進歩だ。
その勢いを駆って何とか50mまで泳げるようにと
昨日も一人でプールに行ってきた。
でも途中で足がつってダメだったらしい。

そしていよいよ今日の体育の授業で、

50m泳げるかどうかの見極めが行われた。
50mとは言っても、25m×2なので
一瞬中休みは取れるのであるが、
それでも高1くんにとっては未知の領域への挑戦である。

そしてなんと、両足がつりそうになりながら、

50m泳ぎ切ったのだった。
残り10mは息継ぎもせずに死にそうだったらしいが、
帰ってくるなり「オレは天才だ!」と言うので
「すごいぞ、天才だ!」と誉めてあげた。

泳げる人にとっては何ということもない距離であろう。

でもワタシ自身、水泳は苦手で苦労したので、
その辛さは良くわかるのである。

特にワタシの場合は、高校が50mプールだったから

水泳の授業がイヤでイヤでたまらなかったのだ。
そんな憂鬱な時期が、毎年確実にやって来ていたのだ。
ワタシもはるばる1時間半かけて
一人で何回か温水プールに通い、
どうにか50m泳げるようになったが、
「残り10mは息継ぎをしない」苦しみは痛いほどわかるのだ

高1くんの場合は、そのお友だち様様だけど、

友だちに頼んでまでプールに行ったというのも
カッコつけたいお年頃としては、ずいぶん頑張ったものだと思う。

良かった良かった。

何だかホッとしたのである。