「ヨルタモリ」を見るようになって
そこに出ている能町みね子という女性は
いったいどういう人なんだろうと調べてたどりついた本が、
この「オカマだけどOLやってます。完全版 」であった。
「性同一性障害」(著者本人はこの言葉がキライ)の男子が
女子として生きていく上での苦労などを
面白おかしく書き綴った本。
と言うと、“軽い”本だと思われそうだが、
著者も同一性(アイデンティティー)に
ドロドロと悩み続けるような
“重い”話を綴ろうとはしていないから
ある意味“軽い”本で、正しいのだ。
“軽やかな”本と言った方が良いかな。
「自分は普通である」、というのが基本スタンスだから、
いかに普通の生活を苦労し工夫しながら続けるかという
日常的サバイバル本みたいな感じなのだ。
でも、自筆の挿絵と相まって醸し出される
その“軽やかな”部分こそが、
筆者の距離感の取り方の巧みさや文章の上手さであって、
実は奥は深いのに面白く読めてしまう。
時々笑いながら読み進めるうちに、
性同一性障害は「病気」や「障害」だという
性同一性障害は「病気」や「障害」だという
周囲の勝手なイメージの押し付けや、
「理解と共感」のつもりで近づいてくる人たちの
「興味本位」や「自己満足」や「偏見」が、
静かに浮かび上がる。
いやぁ、とても面白かったなぁ。